日々診療していると、驚くことがたくさんあります。
その患者さんは診療と言う形でなく、インフルエンザワクチンの接種を希望されて受診されました。当院は全くの初診でした。
元気良さそうなので、淡々と診察を進めると問診票に「鶏卵にアレルギー」と書かれています。その時に、この患者さんは卵アレルギーが心配で、当院を頼ってきてくれたのだと気づきました。これまではインフルエンザワクチンを1回も受けたことはないそうです。
話を伺うと、祖父が卵を食べた箸で、他の食べ物をつまんでお孫さんに与えたら、まもなく体中にじんましんが出たそうです。間違いなく卵アレルギーと診断できるでしょう。
ある医療機関で、インフルエンザワクチンを希望すると「うちでは卵アレルギーがあるとやらないから」と断られたそうです。「接種してくれそうなところに紹介しましょう」と言ってくれればよかったのですが、お母さんも、ついそういうものかと思ってしまったそうです。
別の小児科で検査を受けても、卵白はそれなりに高い値でした。「卵黄くらいは与えてみてもよさそうだけどね」、そういう説明だったそうです。もうちょっと具体的な話が合っても良かったのではないかと思うのです。
と言いますのは、この患者さんは3歳を過ぎているからです。これまで卵の含まれたものは、一切食べたことがないそうです。当院にインフルエンザワクチンの接種に来られて、こういう展開になりました。さすがに私も意外な展開にビックリしました。
確かに、卵白の値は高めでした。でもこの年齢で、完全除去を続ける必要はないのではないかと思います。お子さんの健康や成長を考えると、またお母さんの負担を考えるとこのままではいけません。いつも通り、「食物負荷試験」の話をして、最新の食物アレルギー医療はこうなっていんですよと殊細かに説明しました。
肝心のワクチンですが、テストで確認し問題なく接種を行っています。当院は卵白の値が6であっても、卵を食べてアナフィラキシーの既往があっても、今のところすべての患者さんに接種を安全に受けて頂いています。この患者さんも、あっさり行えました。
その日は、ちょうど卵白の値が6のお子さんに卵の加工品の負荷試験を行っていました。皆が6でも食べられるという訳ではないですが、その子は無事に食べられました。そのことを話すと、ビックリされていました。
お母さんには、私のやる事成す事が新鮮だったようです。医師によって言う事がこうも違いものかとおっしゃっていました。家族で外食の時も、この子だけはおにぎりの持参だったそうです。当院に接種に来られなければ、状況は変わらなかったかもしれず、当院に来て頂いて、本当に良かったと思います。
ワクチンから、思いもよらない“人助け”につながったかもしれず、卵の解除ができるまで、全面的にバックアップしていきたいと思っています。


