先日、いきなり大人でぜんそく発作の患者さんが受診されました。
実は、お子さんを当院で診ているのですが、お母さんが当院が小児科であることを知っていながら、“ぜんそくなら当院に来れば何とかしてもらえる”とご主人に当院の受診を勧められたのだそうです。
確かに、大人のぜんそく患者さんは内科に行っても“風邪”と診断されることもあります。重症な方は呼吸器内科の先生でないと、病状に合った治療が受けられないこともあります。当院の場合は、守備範囲の思春期のぜんそくと成人とでは治療に大きな差はないため、対応はできます。
当院は小児科ですので、お子さんの診療を優先させて頂いています。大人の場合、ぜんそくであれば先ほど言った呼吸器内科、アトピーなら皮膚科という受け皿があるからです。当院には既にこどものアレルギー患者さんは、相当数来られるようになっていますので、大人まで手が回らないということが大きな理由です。
でも、目の前に苦しがって困っている患者さんがいれば、対応しなければなりません。期待されると、燃えてしまうのです(笑)。実際に診察させて頂くと「昨日よりもだいぶ楽になっている」とおっしゃる割りには、何となく辛そうです。
客観的に発作の程度を評価しようと、「呼吸機能検査」をやってみました。筒の中に胸一杯の空気を吹き込んでもらう検査です。それで発作の程度が把握できるのです。この検査を多くやっていると、検査結果を見なくても、検査の様子で結果の予想がつきます。明らかに吹き込みが弱いのです。細い気管支の値は100点満点でたったの18点でした。かなり呼吸機能が低下しているし、これでは相当息苦しいはずです。
「医学」は科学なので、病状を的確に捉えた上で、理にかなった治療をすれば症状を改善できるはずです。呼吸機能検査をやる医師は、小児科医はもとより呼吸器内科医でも、あまり多くないと聞いています。私はこの18点という結果と問診を元にして病態を考えました。この方は気管支がとても過敏で、今回は気道感染が引き金となって、重い発作を起こしてしまったと判断しました。
社会人でもあり、入院は極力避けなければなりません。治療の薬を選択し、後日受診して頂くことにしました。何か見落としがあれば、治療効果はイマイチかもしれません。しかし、これまでの経験からほとんどの患者さんを次回受診までに軽快させているつもりですので、改善している自信はあります。
いつも言っている通り、ぜんそくは慢性的な病気なので、病気を軽くみているとしっぺ返しをくらいます。お父さんにもその辺のことを説明していたら、合計で30分近くかかってしまいました(汗)。困っている患者さんを目の前にすると、つい全力で対応してしまい、次の患者さんをお待たせしてしまいました。しかし、プロとして患者さんが誤解している部分を、正しく理解し直して頂けたと思っています。
私は慢性の病気をお持ちの患者さんに対して、小児科であれ、内科であれ皮膚科であれ、じっくりと説明して、正しい対応を理解して頂く努力をした方がいいと思っています。そうすることで、患者さんも初めて病気に対する“立ち向かい方”を理解して頂けるものと思います。医療機関によっては急性疾患のように扱われており、それでは的確な理解を得ることは難しいのではないかと考えております。
やはり医療は、困っている人を助ける(症状による苦痛を取り去る)ことが主体のはずです。症状が慢性的なら時間がかかるのは、当たり前のことです。今後も当院を受診される患者さんには、「理解」や「納得」して頂けるような医療を提供していきたいと思っています。


