昨日も触れましたが、25日に行われる食物アレルギーの発表の準備に余念がありません。
食物アレルギーの専門的は医療をやっている小児科医は、全国的にも少ないのが現実です。当院には、市内外から患者さんが来られます。
どの小児科の先生にも、卵焼きを食べさせたらじんましんが出たとか、ミルクを飲ませたら体中が真っ赤になりビックリして受診したという患者さんを経験しているはずです。卵、その次に乳製品がこどもにアレルギーを起こしやすい食品だからです。
当院ですと、ちょっと様相が異なります。ピーナッツやエビを食べて体中がじんましんが広がったとか、果物を食べてからのどが痒くなり、息苦しくなったとか、小麦やエビを食べて運動したら顔が腫れて、息がしづらくなったなどを訴えとして患者さんが受診されます。つまり、専門性を期待して様々な食物アレルギーの患者さんが訪れて下さいます。
食物アレルギーは、症状を起こすものを除去することが治療の基本です。原因を特定してあげるのが「プロ」の務めだと思っています。何か分からないけれど、食べるとアナフィラキシーという強いアレルギー症状を起こしてしまう、というのなら安心して食事がのどを通りません。
ただし、これまで学んだ知識を駆使しても、よく分からないケースも正直言ってあります。せめて、また同じ症状が見られた時に対処できる薬を出して、対応して頂くしかありません。そのうちに原因が特定できる可能性も出てきます。
どの患者さんもより知識のある医師を求めるものだと思います。患者さんが集まってくれると、データが集積して、よりノウハウが蓄積します。更に、困っている患者さんのために役に立てると好循環と言っていいかと思います。もっと勉強して更に多くの患者さんから安心して受診して頂けるように努力しなければならないと思っています。
1ヶ月ほど前に、1歳頃に卵でアナフィラキシーショックを起こしたお子さんが当院を受診されました。既にちょっとした卵製品は摂れているため、本丸である卵料理が食べられるかどうかを確認して欲しいということでした。これまで別の医療機関に行っていたそうですが、園の先生が当院を紹介して下さったというのです。
さすがに、ショックまで起こしているケースは私でも躊躇はあります。しかし、当院がやらなければ、どこも引き受けてくれないと思いましたし、先ほど挙げたピーナッツ、エビ、魚、果物よりは治りやすいアレルゲンです。もともと負荷試験は、じんましんなどの症状が出れば、「まだ卵焼きは食べられない」とご家族や園の先生も正しく理解するための検査とも言えます。
ということで、先日卵焼きを利用して負荷試験を行いました。途中、ちょっとした症状があれば、試験を中止し、薬を飲ませるなどして早め早めの対応が必要になります。やり慣れない先生には、その判断が難しいと思います。私自身もちょっと迷うこともない訳ではありません。内心、心配しながらやりましたが、無事に1個食べ切りました。
今回のように、卵でショックを起こし、親御さんとしては「もう卵なんて一生食べさせたくない」なんて思われるかもしれませんが、食べられることもあるのです。診療で疲れ気味な体も、母の笑顔で吹き飛んでしまいます。ショックまで至ったアレルゲンを解除するための負荷試験は、滅多にないですが、私も肩の荷が下りた気がします。
地道にやって、少しは知名度が上がってきたせいか、100キロ以上離れたところから当院を目指して患者さんがやってきて下さいます。難しい食物アレルギーの対応、食物負荷試験は小児科医なら誰にでもできるものではないと自負しています。皆さん、一生懸命通院して下さっています。私のやりたかったのは、私の腕を信用して遠くからも受診して下さるような“こだわりの医療”なのですが、少しはできているのかなと考えています。


