先日、市外から“湿疹”の赤ちゃんが受診されました。「紹介」という触れ込みだったのですが、実際のところはそうではありませんでした。
これまで、ある医療機関で“湿疹”の治療を受けていたそうです。アトピー性皮膚炎とはハッキリと診断されていませんでした。治療はそれなりにいっていましたし、「インタール」という食物アレルギー用の薬も処方されていました。でも良くなりませんでした。
私は良くならないのに、同じ薬を使い続けるのはどうかとよく言いますが、何のことはなく、良くならない“理由”があるから改善しないのです。それを常に考えながら治療しないと、良くなるものも良くならないと思うのです。
一応、おくすり手帳で前の処方をチェックしています。参考になるものは全部利用して、最短距離で良くしたいと考えるからです。その上で「こうすれば良くなるはずだ」と考えて治療法を選択させて頂いています。私にお子さんの皮膚の治療を委ねて頂けましたので、現時点で使うべきかどうか判断できない「インタール」は中止としました。
自分で言うのも何ですが、これまでの経験ではアトピー性皮膚炎と診断して治療をすると1週間後に95%以上の改善率を誇っていました。というか“良くする薬を選んで処方していた”というのが正しい言い方かもしれません。たいていは診断や治療に関して“足りない部分”があるからです。この患者さんにもいつも通り治療を組み立て、1週間後に受診して頂きました。
当然良くなると思っていたのですが、何故か良くなっていませんでした(涙)。正直、ちょっと凹みましたが、もっと凹んでいるのは親御さんのはずです。気を取り直して“足りない部分”を考えます。そこで作戦を練り直し、何十キロも離れているのに、1週間後にもう一度再診して頂きました。
今度は、しっかりと良くなりました!!。この子を見た人々が「どこで治療しているの?」と興味津々に聞いてこられるのだそうです。取りあえず、やれやれです。まず皮膚を落ち着かせてから、それでもダメならインタールなどを試すのが一般的なやり方だと思います。
当院は、ぜんそくや食物アレルギーの対応にはそれなりに自信を持っていますが、アトピー性皮膚炎にもこだわりを持って診療に当たっています。今回の患者さんは、実は前医の先生のところに通っても良くならなかったので、お母さんが当院の名前を出したそうです。「行きたければ行ってもいい」と言われたそうです(汗)。
正直言って、結果的にもこの患者さんは決して軽症ではないので、専門医が対応した方がいい病状だったと思います。既に処方されていた薬では、改善は難しかったと思います。医師はどこまでやってダメなら、専門医に紹介するというような自分なりの線を引いた方がいいと思います。各医師は、自分の知識の限界以上の治療はできないからです。実際、日本アレルギー学会は1か月程度治療しても改善がなければ、専門医に紹介することを推奨しています。
こういう場合、現在のところ主治医の良心というか判断に任されています。紹介が進まないのは、医師のプライドもあるのかもしれません。もうちょっとこの辺のシステムが整理されないと、患者さんが恩恵に預かれないと思っています。
先日、ある医療機関でぜんそくかもと言われたお子さんが受診されました。アトピーも重症で別の病院にかかっていたそうです。ぜんそくの専門医ということで、ぜんそくの治療は希望されていましたが、アトピーはこれまでの病院か当院かで迷っておられました。皮膚の状態がかなり悪かったので、取りあえず次回の受診までアトピーも治療させて頂くことになりましたが、次の受診の際にお母さんから「アトピーもお願いします」という言葉を頂きました。劇的に改善していたので、アトピーでも私の腕を認めて頂けたようです。ということで、ぜんそくもアトピーも当院で治療させて頂くことになりました。
アトピー性皮膚炎のお子さんは、現状で諦めないで頂きたいと思っています。“足りない部分”があるとなかなか改善せず、掻いて悪化を繰り返すしぶとい病気がアトピーなのです。それに気付かないと、良くすることはできません。頑張って通院しているのなら、良くなりたいですよね?。中にはアトピーなのに“乳児湿疹”や“乾燥肌”と診断されていてなかなか良くならない患者さんもいます。診断が足りていないケースもあるのです。痒い湿疹がよくならなければ、ご相談頂きたいと思っています。


