小児科 すこやかアレルギークリニック

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大成功
2008年10月06日 更新

4日、医院を休診にして「すこやか健康フェア」を開催しました。

園や保育園などでは行事が目白押しの時期ではありますが、多くの方にご参加頂きました。ありがとうございました。7月の中旬に、漠然と「こんなことをやりたいな」という思いつきから始まりましたが、何のノウハウもないのに、スタッフの協力と情熱だけで乗り切った感があります(汗)。

イベントのスタートは10時からでしたが、10時になっても全くの無風状態…。こんなんで大丈夫か?と思いましたが、少しずつ参加者が増え、11時の私の勉強会では待合室は満員状態に。食物アレルギーの関心の高さを表していると思いました。

私の発表後に質疑応答があったのですが、いくつも質問が出ました。日頃なかなか医師に聞けないらしく、疑問に素朴なも丁寧に答えられたと思います。私が思ったのが「食物アレルギー=完全除去(卵なら卵の入った全てのものを食べないようにすること)」を考えている医師があまりにも多いこと。そう指導されて、何も疑問を持たずひたすら除去を続ける患者さんという構図が明らかになったと思います。

医学は進歩しています。昔はそういう指導が多かったかもしれませんが、今は以前よりは患者さん側に立った視点で治療を行うようになっています。何でもかんでも完全除去が必要なケースは非常に少なく、なるべくかかりつけ医の目の前で食べさせてみるだけで、患者さんは食べられるものの幅を確実に広げられます。そういう情報を知らされていないケースがまだまだ多いのだと思いました。患者さんのQOL(生活の質)を考えない医療は廃れていくと思います。そういう医師も患者さんから支持されなくなるのだろうと思います。食物負荷試験という方法があるよとお知らせすると、是非受けてみたいとおっしゃる方もいらっしゃいました。

池本先生のアレルギー対応食のご講演は盛況でした。20分前に会場に行ってみると、参加者もまばらで「…」と思いましたが、直前になると大勢入れる会場が一杯になりました。

池本先生のお話は、日頃から最重症の食物アレルギーの患者さんと真正面から向き合っておられるだけあって、非常に懐の深いお話でした。数字が高い=アレルギーと考えがちで、残念ながら小児科医でもそう考えている節があります。決してそうではなく、負荷試験で確認して食べられるものを探していき、成長期のお子さんを栄養不足にさせないことが大切だと何度もおっしゃっていました。

また、例えば大豆の検査値が高いと、味噌や醤油、納豆、豆腐などの除去を指示する医師が少なくない中、調味料はアレルゲン性が相当低下しており、ごく一部の患者さんしか除去しなくていいなど、理論的で百戦錬磨のご経験に基づくお話も伺えました。日頃診療をしていて、大豆アレルギーがあるので味噌や醤油を使わないようにと指示され、患者さんが高価な雑穀で作った調味料を用いているケースがありますが、そこまで除去しなくていい患者さんは少なくないのではないでしょうか?。治りやすいアレルゲンとそうでないものがあります。当然、それを考慮に入れて対応すれば効率的に除去を必要最低限にできるし、そうすべきだと思います。

福岡病院では、アレルギー教室という患者さんのご家族を対象に、アレルギー対応食の調理実習も行っています。クリスマスにはこどもはクリスマスケーキが食べたいもの。しかし、ケーキの中には卵、乳、小麦がバリバリ使用されています。食物アレルギーのこどものために5大アレルゲンである「卵、乳、小麦、大豆、米」を全く使わないクリスマスケーキやきれいに盛りつけられたごちそうのスライドが出た時は、会場が沸きました。

食物アレルギーは非常に関心が高く、今回は周到に準備したとはお世辞にも言えないものでしたが、大成功と言っていいでしょう。池本先生のお話が食物アレルギーで困っている親御さん、園関係者の方々の参考になり、お子さん達に役立てて頂ければと思います。

ご講演後に池本先生とは会食をともにさせて頂きましたが、福岡病院は本当に最重症の患者さんが多いのです。食べると症状が誘発されてしまうので、あれもダメ、これもダメというお子さんが多いのです。となると「何とか食べさせてあげたい」と思うもの。いろんな知識を総動員して食べられるものを探すし、食べられるものをいかにこどもが美味しく食べるかを、常に考えていらっしゃいます。小児科医と栄養士の共同作業が、共通の理念のもと歯車が噛み合って、前に進んでいるんだなと思いました。と同時に新潟県にないものは「これだっ」と感じました。

食物アレルギーの治療は、アレルゲンを除去することです。ぜんそくとアトピー性皮膚炎の患者さんが初診されると、1週間後までに症状をかなり改善させられる自信があります。しかし、食物アレルギーは、専門医が診てもすぐに食べられるようにすることはできません。小児の食物アレルギーは、成長とともに食べられるようになることが多いですが、ただ漠然と待っていればいい訳ではありません。

医師の方もオーバーに除去しておけば何も起きないため、検査が陽性なだけで、一律2~3歳まで除去するように指導している先生もいます。しかし、たいていはそこまでの除去を必要としません。除去の解除が遅ければ遅いほど、患者さんをいろんな面で追いつめてしまう可能性に気付いて頂きたいと思います。

専門医なら1歳を過ぎたら解除していくものです。いかに食べられるものを探し、食べられるよう努力していくかは医師の“やる気”や“技術”によって変わってきます。そうすることにより、患者さんの栄養不足の不安も改善するし、親御さんの精神的、経済的な負担も軽減するはずです。池本先生と話をしていて、食物アレルギー医療の基本は「思いやり」だと再認識しました。

新潟県の食物アレルギーの患者さんは、残念ながら恵まれていないと思います。昨日のイベントは患者さんの親御さんの他に園関係者が多かったように思います。つまり現場ではそれだけ困っているこども達が多く、大きなニーズがあるのです。新潟県の食物アレルギーの医療を盛り立てていくためには、医師がもう少し積極的になることも必要かもしれません。今回、私にとってもいろんなものが見えてきたイベントだったと思っています。

当院は、今後も医師の間でも誤解の多い小児アレルギーの分野を食物アレルギーを中心に、情報発信してきます。「すこやか健康フェア」は第2回以降も続けますし、地元で食物アレルギーの話をして欲しいという依頼もいくつかありました。ここまできたら引き下がれない、意地でも県内の食物アレルギーの医療をレベルアップしてやる、そう決意しました。