小児科 すこやかアレルギークリニック

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問診票で違和感
2008年10月03日 更新

今は秋ということもあり、ぜんそくの初診の患者さんが多いです。

アレルギーは、問診が大切です。お父さんお母さんのアレルギーの有無もそうなのですが、ぜんそくの場合は入院歴が重要です。重症なお子さんほど、何度も入院するからです。また何歳の時に入院したかも大事になってきます。

先日来られた患者さんは、小学生になっていましたが、問診票をみて“違和感”を覚えました。「入院1回だけ、6歳の時」と書いてあったのです。何だ、1回だけかと思われたかもしれません。

問診を続けていて、だんだんその“違和感”が鮮明になってきました。そのお子さんはある医療機関に通院していました。重症な患者さんは、発作を繰り返すたびに、発作を起こすクセがついてしまうので、更に発作を起こしやすくなってしまうのです。ぜんそくの治療は「発作を起こさせないこと」に尽きます。発作を起こす度に点滴を繰り返されて、お子さんは息苦しいし、点滴は嫌がるしで、お母さんも切なかったそうです。

6歳の時に、週末の夜に大発作を起こし、医院はやっていない時間帯だったので病院の救急外来を受診し、そのまま入院になってしまったそうです。これが「入院1回だけ、6歳の時」なのです。

一般の方はよく分からないかもしれないので解説しますと、ぜんそくは3歳までに8割が発症します。幼稚園や保育園時代は風邪をもらってしまい、それをきっかけとして発作を起こし入院してしまうこともあるでしょう。しかし、体も強くなってきた6歳くらいになると入院はしなくなってきます。発作も少しは起こしづらくなってきているはずなのに、6歳で初めての入院はおかしいなと思ったのです。

案の定、治療はテオドールを使った治療が行われていました。10年前は小児ぜんそくは気管支が発作性に狭くなって、苦しくなるのでテオドールで気管支を広げてあげある治療が主流でした。今はそうではなく、気管支が“炎症”を起こして荒れているので、テオドールが主体の治療では適切な治療はできないはずです。ごく軽症の患者さんならそれでもいいでしょうが、それでは治療不足だったと思うのです。

入院したその病院で、吸入ステロイドを使った適切な治療が開始され、症状はぐっと安定してきたそうです。“今風”の治療に変わったので、当たり前と言えば当たり前です。ただ、落とし穴がありました。

先日、調子を崩して当院を受診されました。吸入ステロイドでキッチリと治療すると発作はあまり起こさないことが多く、起こしても軽いことが多いのに、目の前の患者さんは肩で息をしています。問診を進めるにつれて、治療も親御さんの認識も、患者さんの重症度に対して充分ではなかったことが判明しました。

親御さんは素人で分からなくて当然です。以前と違い、点滴に通うこともなくなってきたので、治ってきたものと判断し、治療を勝手に減らしたり、しないこともあったそうです。発作を繰り返すお子さんは、そう簡単にはぜんそくは克服できません。キッチリと発作を抑えないと病魔は確実に油断を突いてくるのです。

呼吸機能検査も悪く、今後しっかりと治療しなければならないと判断されましたので、時間をかけて説明しました。お母さんは当院での治療を希望されたので、今後はキチンと治療をさせて頂きたいと思っています。

重症な患者さんを診ていると、こういう“違和感”に気づくようになると思います。小児ぜんそくは5~6割しか治らないと言われています。発作を起こしたお子さんに「点滴を繰り返したお陰で、苦しい発作が治って良かったね」というのはちょっと違うと思います。

医師は、発作を起こしたお子さんを診たら、苦しさ、辛さを早く取ってあげるべきです。しかし、それだけでは終わらずに、重症かどうか、発作を繰り返していないかどうかを冷静に考えなければなりません。日頃の治療不足を改めない限りは、繰り返す可能性が高いと思われます。心配な方はご相談ください。