先日、診療中に看護師さんに耳打ちをされました。
20代の患者さんがぜんそく発作で、突然受診されたそうです。当院はぜんそくの専門的な治療をやっていますので、いきなり重い発作で受診されるケースはほとんどありません。
継続的に治療をしなければならない患者さんは、キチンと予防治療していますので、滅多に発作は起こしません。それが“プロ”の治療なのです。看護師さんの話を聞いて、相当具合が悪いのか、入院が必要なのかという考えが頭に浮かび、急いで患者さんの診察をしなければならないと思いました。
ぜんそく発作が最重症の場合は、死に至ることもあり、アレルギー疾患の中では最も気をつけなければなりません。幸い、酸素の取り込みはさほど落ちていませんでしたが、息苦しそうです。まず気管支拡張薬の吸入をと考えました。中には、吸入をして逆に苦しくなることもあるので、酸素ボンベを用意しました。
話を聞くと、普段から発作を起こしやすかったそうです。大笑いすると発作を起こすので、うかつに笑えないともおっしゃっていました。今回は、季節の変わり目ということもあるでしょうが、冷気を吸ってから発作を起こしたようです。
普段から携帯用の“気管支拡張薬”の吸入器を持っていて、頻繁に吸っていたようです。同種の吸入薬を処方する医師がいますが、慎重に行うべきです。ごく一部の患者さんでしょうが、この薬の乱用で死亡に至ることも有り得るのです。ぜんそくの治療の上で、最も避けなければいけないことは、発作を起こし続けることです。発作を起こしやすいから吸入に頼らざるを得ない訳で、予防して発作を起こさないようにすれば、こういう吸入器は必要なくなるのです。
この方は県外の内科に通院されていたそうです。薬を予防的に飲んでいたのですが、その先生には悪いのですが「専門医」でないことはすぐに分かりました。患者さんの症状に合っていない、過小な治療だったからです。治療していても、治療効果がなければ意味はありません。医学は日進月歩で進歩していますので、やはり難しいケースは専門医に任せないといけないのだと思います。
最近は、乳幼児のゼーゼーいいやすいお子さんが、当院に多く受診して下さっています。他の医院で治療されていた方も、「専門医」ということで期待されて受診されているようです。乳幼児は気管も細く、痰も溜まりやすくうまく出せないので、症状が出やすいのです。乳幼児のぜんそくは私の得意分野で、1~2回の通院で症状を改善させる自信はあります。
私は小児科医です。乳幼児だけ診ていればいいのではありません。中学生、高校生の患者さんにも対応しなければなりません。小児では、思春期には症状がみられなくなる患者さんも多いので、この時期に発作を繰り返すようでは、しっかり治療する必要があると思います。体格的にも大人ですし、「大人のぜんそく」の治療にも精通していなければなりません。幅広い年代の新しい治療も頭に入っていなければ、“プロ”とは言えないのです。
ということで、治療を替える必要性を説明し、治療を適切なものに替えさせて頂きました。主治医の先生には治療を替えさせて頂いた旨を紹介状に書こうと思っています。多分、2週間くらいして症状が少しずつ改善していくのが実感できるのではないかと予想しています。
乳児と成人のぜんそくは、治療の仕方や使う薬、治療期間など様々な点で異なります。小児科のアレルギー専門医は、各年代に合わせて的確に治療することを求められます。それに応えてこそ「専門医」と言えるのだろうと思います。秋になり、通院してもゼーゼーや咳が止まらない患者さんはご相談ください。


