上越の地に小児アレルギーにこだわった医院を開設して1年が経とうとしています。
専門施設で修行してきましたので、治療も専門的で治療効果の高いものを選んでいます。周囲の医療機関でも似たような治療法を選択される方も心なしか増えてきたように思っています。
普段から、アレルギー検査は「2」くらいでも食べられるケースは少なくないと言っていますが、年齢を考えずに指導してはいけないという話をしたいと思います。
先日、初診された患者さんは卵白のアレルギー検査が「5」だったそうです。1歳を過ぎて再検して「2」に下がったので、自宅で卵黄から始めるように言われたそうです。不安になって、知人の勧めもあり、当院を受診されました。ちょっと前まで「0」になるまで食べないように指導されていたので、方針が変わったようです。
食物アレルギーは、いつも言っている通り、「食物負荷試験」をやっている医師でないと正しい診断はできません。負荷試験をやっている専門医として、この件について私の考えを述べさせて頂きます。
離乳食を始める前に卵白が「5」ですと、母乳由来の影響が大きかった可能性が高いです。この赤ちゃんは、よほど卵に弱い体質なのだろうと思います。この時期に卵料理を与えていれば、ショックなどの強い症状がみられた確率が高いと思います。
それが「2」に下がってきているということは、確かに卵と“和解”してきていることが伺えます。しかし、負荷試験をやっていると「2」でも強い症状がみられることは経験上、知っています。しかも「2」という数字は年齢によっても反応が変わります。1歳と3歳では、3歳の方が症状が出にくくなります。つまり、1歳ではまだ強い症状を起こす可能性があるのです。慎重な対応が望まれる年齢であり、安易に自宅で食べていいというのはどうかと思います。
食物アレルギーにこだわっている小児科医として、地元の患者さんを危険な目に遭わせる訳にはいきません。何も起きなくてよかったと思っています。親御さんに「食物負荷試験」の説明をしたところ、当院での治療を希望されましたので、慎重に対応させて頂くことになりました。
専門医は、ただ単に検査の値をみているだけではありません。プリックテストという皮膚テストも参考に総合的に判断しています。また、2~4歳くらいだど卵の加工品くらいは食べているでしょうから、摂取状況が参考になります。しかし、1歳になったばかりだと、これまでは完全除去だったので、ありふれた卵と言っても赤ちゃんにとっては“未知のタンパク質”です。「2」に下がったからという指導は、危険が伴うと思います。年齢も考慮に入れた上で、指導しないと医師の責任問題にもなりかねません。そういう場合は「食物負荷試験」を行うべきであり、専門医に紹介した方が無難だと思います。
食物アレルギーの治療は、食物の除去が基本です。除去の継続により、アレルゲンによっては治る可能性も充分にあります。医師からの正しい指導に基づく、ご家族の日々の努力が大切になってくるのです。その指導は、専門医では方向性にブレがなく、危険な目に遭うことはまずありませんが、専門でないとそうでない場合もあるのです。食べさせることに関して、消極的なのも困りますが、積極的に過ぎても危険を伴うことがあります。
難しい手術もそうですが、何度も手がけていると技術もアップし、更に評判が広がり、患者さんが集中するので、医師間のスキルや実力の差となります。「食物負荷試験」も同様に、やっている医師にノウハウが集積する結果となります。私自身、同業者からもっと紹介されるようにならないと、いけないと思います。
これまで当院にかかっていなかった患者さんで、「食物負荷試験」について医師から説明されているケースはほとんどありません。新潟県で、ごく少数の医師しかやっていませんから当然なのかもしれませんが、困っている患者さん達は「食物負荷試験」を受ける権利を持っているのです。
まずは、患者さんに「食物負荷試験」の存在を広く知って頂くことが、私に課された責務だと思っています。


