「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病気があります。
アレルゲンを食べて、運動をすると強いショックなどのアレルギー症状を起こすという病気です。アレルギー疾患の中でも重篤な症状を呈するので、医師であればキチンと理解しておくべき病態だと思います。
先日受診された患者さんは、春から給食後の昼休み時間に遊んだりすると、強めのアレルギー症状を繰り返していました。しかし、受診した医院では、何だかよく分からなかったようです。この春にたまたま観た「ザ!世界仰天ニュース」でアレルギー特集をしており、その中で紹介されたこの病気をみて、「うちの子の病気はこれではないか?」と考えたそうです。
話を聞いてビックリしたのですが、「負荷試験」も自宅で実施してみたそうです。患者さんは、実際にパンを食べて少し走ってみたら、首の辺りにじんましんが出て、診断を確定したそうです。実は、番組の中で小麦を食べて、病院内でベルトコンベアーのような機械の上を走って運動をしてみて、症状が出るかどうかを確認する再現VTRが流れたのです。それを見よう見まねで行ったようなのです。
シロクロつけたい一心で、やむを得ずそうされたのだと思いますが、実はこれは危険な行為と言わざるを得ないのです。そもそもこの病気は、生命を危機的状況に陥らせてしまう可能性があります。その番組は私もチラッと観ていたのですが、関東の大学病院で医師が付きっきりで、万全の体制で行っていました。素人が家庭で行うようなレベルの検査ではないのです。患者さんには、どれくらいのアレルゲンを食べたらいいのか分からないし、どれだけの運動量がいいのか加減が分からないからです。専門医にも設定が難しいのに、いずれにしても、大ごとにならずによかったと思います。
別の患者さんですが、私の診ているお子さんのお父さんが、甲殻類を食べてからランニングをしていたら、顔がパンパンに腫れたそうです。「最近は、運動だけも強いアレルギーを起こすからね」という説明だったそうです。いずれのケースも、強いアレルギー症状が出ているにも関わらず、原因究明をしようという医師の“執念”を患者さんのお話から感じることができませんでした。
本来なら、医師は病気のプロですから、キチンと診断し、アドバイスをしてあげなければなりません。重篤な症状を来すこともあり、日常生活について的確に指導しなければなりません。あいにく、受診した医師にはちょっと難しかったようです。専門外で診断できなかったのなら、それは恥ずかしいことでもなんでもありません。私が残念に思ったのが、なぜ診断できる専門医に紹介をしなかったのかということです。当院を受診されたのは、医師からの紹介ではなく、当院の噂を聞いて受診されたようです。現状では医師間の連携は取れていないと言わざるを得ません。
患者さんにとってみれば、できることなら診断が確定し、次回の症状を避けられるものなら避けたいというのが本音でしょう。原因が分からないまま、不安を抱えて生活していくのは、それこそストレスです。専門医は、専門的な知識を持っているからこそ、アレルギー専門医の資格を持っているのです。もっと患者さんの立場に立った医療機関の連携が進まなければならないと思っています。


