先日、ある小学校の校長先生からお電話を頂きました。
先月のことです。小学生の患者さんがエビでショック症状を呈したため、今後の方針を立てる目的で下越から親子で受診されたということがありました。決して甘く考えてはいけない重篤な症状だったので、親御さんにエビを食べた時にどういうことが起きたのか、万が一そうなった時にはどう対応したらいいのか、再発を防止するにはどうすべきなのか、などをお話ししました。
その子は小学生なので、日中は学校におり、昼には「給食」を食べます。ということは、学校でも強いアレルギー症状を起こしてしまう可能性があるのです。今回のことは、学校関係者の方々にもキチンと理解しておいて頂きたいと考えました。お母さんと通して学校側に病状を伝えても、申し訳ないですが全てが伝わらないし、疑問に思ったことがあってもお母さんの答えられることには限界があります。数日前にも書きましたが、直接の学校と小児科医の話し合いが不可欠なのです。
下越の学校なので、当院まで優に150キロはあります。この子を守るために、私の方から出向いてでも、学校側と話合う機会が欲しいと親御さんにお願いしていたのです。そうしなければ、彼を守るはずの大人の足並みが揃わないからです。それが冒頭の校長先生から頂いたお電話だったのです。
学校の先生方もお忙しいでしょうが、私も平日は診療で忙しいので、土曜の午後と日曜日くらいしか対応できません。恐縮ですが、医院にまで足を運んで頂くことになりました。今月中に話し合いを行う予定です。
私は、これまで学校の先生とお子さんの食物アレルギーのことで話し合う経験はありませんでした。ただ伝え聞くところによりますと、新潟県の学校関係者ではキチンと理解されている先生方は少ないようです。
幼稚園では、食物アレルギーを持つお子さんの入園を経験不足から断るところもあるようです。それって差別とはいえませんか?。好きで病気になった訳ではなく、日々食事のことでご家族がご苦労されているのに、受け入れてくれる園探しでも困難を極めるというのはおかしいと思います。受け入れることに勇気も必要でしょうが、食物アレルギーを理解した小児科医から指導を受ければ、それほど難しいことだとは思いません。私の診ている重症食物アレルギーの園児や児童は、ちゃんと園や学校生活をエンジョイしているのですから。閉鎖的な発想は、将来を担うこども達のためにはプラスにならないと思うのです。
今の新潟県で、小児科医と小学校(もしくは園)の間でこういった食物アレルギーに関する話し合いが頻繁に行われているとは思えません。県内で、重症なお子さんはこの子だけではないはずです。学校側も患者さんが、何をどれくらい食べると、何分後に、どういう症状が出たという事実や対処法は理解しておいて頂きたいと思います。
小学生になっても卵や乳製品、小麦で強いアレルギー症状を起こしてしまうお子さんはいますが、最近はエビなどの甲殻類、魚類、ピーナッツなどのナッツ類でアナフィラキシーやショック症状を呈するお子さんも増えてきています。また「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」といって、給食で小麦や甲殻類、果物を食べてから、昼休みに運動をすると重篤なアレルギー症状を起こすお子さんも数万人に1人の頻度でみられます。学校で起こしやすいのです。本来なら各学校の先生方がちゃんと理解しておいて、緊急時に対応できないといけないと思っています。こどもが死亡なり、重症になってからでは取り返しがつかないのです。
思い当たるようなケースがありましたら、学校関係者、園関係者の皆さんは当院に連絡して下さい。お子さんを守るため、再発防止のために話し合いを持ちましょう。当たり前の事ですが、相談料もいりません。誰かが情熱を持って動き出さなければ、何も変えられないと思います。新潟県の食物アレルギーで困っているこども達のために、地道に進んでいくだけだと思っています。


