小児科 すこやかアレルギークリニック

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“絶対”
2008年08月02日 更新

食物アレルギーの有無を、血液検査だけで判断してはいけないといつも言っています。これは患者さんにも、同業者にも覚えておいて欲しい“事実”です。

最近は、小児でも「じんましん」の患者さんが増えてきています。じんましんが出ると、食べ物のアレルギー検査をやる医師がいまだに多いのが現状です。じんましんが数日続く場合もありますが、毎日同じものを食べている訳ではないので、こういう場合は食べ物が原因でないことは容易に想像ができます。じんましんの原因は食べ物だけではないので、血液検査に頼り過ぎるのはどうかと思っています。

患者さんがこどもの場合は、食物の中で頻度の高い卵白やミルクを調べられることが多いと思います。年長児になると、検査が陽性でもその食品を食べても何ら症状のでない場合は結構あるのです。専門医なら、誰でも知っていることです。ミルクがたまたま陽性なのを「ミルクアレルギー」と診断されているケースもあります。じんましんが出始めた少し前の食事の中に脱脂粉乳の入った食パンを見つけて、そう判断されたようです。でもこのお子さんは、普段から牛乳を飲んでいたのです。より濃い乳製品を摂っても何ともなかったのに、食パンという薄い乳製品でじんましんが出てしまうという判断を、どう思われますか?。

アトピー性皮膚炎の悪化要因として食物が関与していることがあります。一般的には0歳児ほど多く、1歳、2歳と成長するにつれて、食物が原因である割合は減ってきます。小学校高学年になるとゼロとは言いませんが、食物の影響はなくなってくると思います。

アトピー性皮膚炎が重症な小学生にアレルギー検査をやって、卵白が反応していたから、卵の完全除去を勧められているお子さんもいました。これまで卵焼きなど卵料理を食べており、皮膚が安定していた時期もあったのです。こちらも卵原因説を唱えるには無理があるように思います。

特に卵や乳製品、小麦など赤ちゃんに多い食品の場合は、アレルギー検査が陽性でも食べても何ともなければ、基本は食べ続けてもいいのです。アレルギー検査のなかった時代には、皆が意に介さず食べていたはずですから。アレルギー検査ができるようになったから、その解釈の仕方にかえって現場が混乱してしまっているのです。

いろんな可能性を考えて、症状を改善させようと努力する姿勢は大切です。しかし、食物を除去する場合は、よほどの根拠が必要です。そして、医師は患者さんの気持ちにも配慮すべきだと思います。

上の2つのケースでは、これまで食べたり飲んだりしていた卵料理や乳製品を、検査結果だけで食事状況の詳細な問診もなく、“完全”除去にするよう指示されたようです。最初から食べられなかったのならまだしも、好きで食べていたものを食べられないもどかしさは、より一層大きいのではないかと思うのです。しかもお母さんも、急にスーパーで原材料の表示をみて、判断しなければなりませんし、母親としてのショックの大きさも計りしれないと思います。さらに完全に食べないとなると外食もままなりません。患者さん達の食生活から気持ちの問題まで配慮して欲しかったのです。

また食事制限を始めてみて、症状の改善がなければ、判断が間違っていたのではと、また食べてみるように勧めてもよかったと思いますが、最初の患者さんは1年、次の患者さんは3年くらい除去されたままでした。結局、患者さんの判断で、当院を相次いで受診されたのです。

患者さんにとって医師の言うことは“絶対”です。除去を口で言うのは簡単ですが、安易に「除去」と言って頂きたくないのです。食事を欠かさずに毎日を送ることはできません。卵や乳製品はたいていの食品に含まれますから、相当悩んで、ご苦労されていたことは想像に難くありません。

食物アレルギーの専門家は新潟県にはほとんどいません。食物負荷試験という技術を持っていなければ、正確な判断はできないケースもあるのです。判断が難しければ、専門医に判断を委ねることは医師として恥ずかしいことではないと私は思います。

困っている患者さんのために、一日でも早く安心して食べられるよう、専門知識を活かして適正な医療を進めていきたいと考えています。