夏休みを利用して、食物負荷試験の患者さんが増えてきました。食物アレルギーで困っている患者さんが多いんだなと実感しています。
私の診ているミルクアレルギーのお子さんが、幼稚園で“脱脂粉乳”入りの食パンを出されたそうです。「脱」という文字が入っているので、乳製品ではないと思われたのかもしれません。まだ小さいので何の疑問を持たずに食べてしまい、顔がパンパンに腫れてしまいました。園の先生も予想外の症状に、慌ててお母さんに連絡を取ったそうです。お母さんも突然のことでビックリされたでしょうが、お子さんを連れて病院に直行されました。
この子は、私の診ている患者さんの中でも、ミルクに対する反応は強く、とても敏感です。私はこの子の重症度はよく分かっていましたが、幼稚園の先生の認識とはかなりの「温度差」があった訳です。人間のやることですから、ミスはつきものです。しかし、今回は“ミス”というよりはそれ以前に、その患者さんがどれだけ乳製品に敏感かということ、どれだけアナフィラキシーを繰り返していたかを私の口から幼稚園の先生に伝える機会がなかったことも問題の一つだったのだろうと思っています。
命に別状はなかったのですが、重症さを分かって頂いていたら、主治医の私に確認をとるくらいの慎重な対応を取られていたのではないかと思うのです。
以前も書きましたが、幼稚園や保育園と小児科医の間には距離があると思います。診療していて、お母さんの陰にぼんやりと園の存在が見えるような印象です。園児は園での滞在は昼をまたぐために、「昼食」がついて回ります。日常生活の中で、何気なく摂っている食事が、食物アレルギーのお子さんにとって凶器に変わってしまうのです。アレルギーのない人には、とうてい理解のできないことでしょう。しかし、それを理解しようとしなければ、子供たちを守ることはできないのです。この園との距離感をつめなければ、こういったことが繰り返されてしまうと思っています。
園の関係者の方々にお願いです。もっと小児科医を頼って下さい。それでもよく分からない場合は、私にメールをして下さい。お子さんが当院にかかっていなくても、相談して頂いて構いません。自分の知識と経験を活かして回答させて頂きます。
今回のような事故が二度と起きないよう、我々小児科医が中心になって、幼稚園や保育園の保育士さん、栄養士さんとも協力し合い、食物アレルギーを持ったこども達でも、病気のないこどもと同様に楽しく園での生活を送ることができるような体制を作っていかなければならないと思っています。


