あるアレルギー科に通院していたアトピーの赤ちゃんの話を以前したと思います。
前医に2~3ヶ月通院治療していたそうですが、改善しなかったので、知り合いの勧めもあり、当院に切り替えられたのです。ほぼ全身に皮疹があり、重症だったので入院も一瞬考えました。診断が違っており、治療不足と思われましたので、自宅で4日間治療してみたら、急激に改善して入院を免れたという話です。
当院でアトピーと診断して、キッチリと治療させて頂きました。一時的に皮膚の炎症を抑えるステロイド外用薬を使わせて頂きましたが、今はスキンケアのみを行っております。重症患者さんは、悪化と軽快を繰り返し、なかなか皮膚症状が安定しないことが多いのですが、今回は安定した状態が続いております。
今回、考えて頂きたいことは、何でもかんでも完璧に診ることのできる小児科医はまずいないということです。そりゃ近くの小児科で何でも対応してもらえればいいのですが、小児科は子供の病気全般を扱います。医学部で医学を学び、日々の診療で研鑽を積んでいても、ハイレベルな診療となると、まず無理でしょう。日本を代表するこどもの専門病院である「成育医療センター」は、消化器科、循環器科、呼吸器科、血液科、アレルギー科、感染症科…と書ききれないほどの部門に分かれています。つまり、一人でできることに限界があるのです。
今だから言えることがあります。私も国内留学する前は、ぜんそくやアトピーの患者さんも診ていましたが、今にして思うと拙い医療だったと思います。その当時の自分の知っている知識の中で一生懸命やっていたのですが、底が浅いので難しいケースだと対応しきれませんでした。自分を信用して通院して下さっていた患者さんにはご迷惑をお掛けしていたのだと思います。
専門施設で修行してきて、自分には何ができて、何ができないことが分かったと思っています。アレルギー以外でも、ある程度は小児科医として対応させて頂きますが、難しいケースはその道の専門医に紹介するようにしています。これまでも神経や代謝、小児外科の患者さんは紹介させて頂きました。
自分の限界を知った上で、診療させて頂き、より専門的な診療が必要でしたら、その道の専門医に紹介するというのが、私の考える“良心的な医療”です。専門ではない分野で難しいケースは、決して深くはない知識の中で背伸びをしてみても、患者さんに迷惑をかけてしまうだけだと思うのです。
私の学んだアレルギーの場合、専門医と専門でない先生の間には明白な技術の差が存在します。自分が非専門医だった頃と、確実な“知識”と“技術”を持つに至った今では大きな隔たりがありますので、よく分かります。更に専門性を求めて重症な患者さんが集まりますので、“経験”の差も大きく異なってきます。冒頭のアトピーの患者さんの治療結果は、こういった違いから生じてしまうのです。結果的に、私のもとへ紹介して下さった方が患者さんのためになったのだろうと思います。ただし、主治医がそう判断しない限りはどうにもならないのですが…。
アレルギーだけなんて言われないよう頑張りますし、今後も良心的な医療をやっていこうと思っています。


