先日、奈良の学会会場で恩師にお会いしました。私は地元では数少ない小児アレルギーの専門家なので、役割分担といいますか、地元の医療機関からアレルギー患者さんの紹介があるかどうかという意味で「連携してやっている?」と聞かれました。
福岡の病院では、ぜんそくやアトピーの患者さんが連日何人も紹介状を持って受診されていました。アトピーの原因として食物アレルギーの関与には否定的の皮膚科の先生からもよく紹介があり、ちゃんと連携は取れていたのです。
先日、某市の小児科にかかっていた4ヶ月の湿疹の赤ちゃんが、皮膚がよくならないことを理由に当院を初めて受診されました。
生後1ヶ月から湿疹があり、その小児科にかかっていたそうですが、診察してみて驚きました。本来みずみずしいはずの肌に代わって、全身くまなく赤くガサガサの皮膚が覆い、まだ利かない手で顔をこすり、不機嫌そうに泣きじゃくっていました。私は一見して重症アトピー性皮膚炎だと分かりました。お母さんも薄々気づいていたのですが、前医では「赤ちゃんではよくある湿疹」と診断されていたそうです。
アレルギー検査は生後2ヶ月で受けていて、「アレルギーじゃない」と判断されていたそうです。実は、赤ちゃんは免疫が未熟なので、2ヶ月では反応が出ないことが多いのです。経験上、まず食物アレルギーを合併していると思います。採血のタイミングが早かったと判断しています。重症の場合は、母の食事についても指導しなければならないケースは確実に存在します。
治療も細菌感染を合併しているのに、ステロイドを塗る指示が出ていたようです。一般的に感染対策をとらずにステロイドのみを使うと、湿疹がよくならないことは多いと思います。生後1ヶ月から通院を続けても、改善が得られなかったそうです。
今回の患者さんはかなりの重症で、入院してもおかしくないくらいの状況でした。最重症のアトピーは最悪、死亡もあり得ます。ですから重症であればあるほど、油断は禁物で、高度な専門的知識と技術を要するのです。アレルギーが専門でない小児科の先生には対応が難しいのです。ご自分がどこまで対応でき、どこからが専門医に紹介するかを分からないといけないと思うのです。
赤ちゃんにはかわいそうでしたが、低栄養や電解質異常があると思われたので、血液検査をさせて頂きました。重症になると、こういった項目に異常が現れるのです。数日、家で1日2回入浴して頂き、きちんと治療してみて改善が乏しければ、入院せざるを得ません。
今回のケースは、ちょっといやな言い方になってしまいますが、とても重症であったため、前医のキャパシティをオーバーしていたと言わざるを得ません。なぜ専門医に紹介してくださらないのか、とても残念に思います。恩師の先生からの聞かれたときに、「残念ながら、連携は難しいです」と答えました。
1ヶ月以上治療しても、改善が思わしくなければ、親御さんが思っている以上に重症である可能性があり、専門的な目で治療する必要が出てくると思います。お母さんは皮膚科に行こうか迷ったそうですが、食事の影響など様々なことを考えて対応しないといけないので、当院を受診して下さってよかったと思っていますし、プロとして期待に応えなければいけないと考えています。


