小児科 すこやかアレルギークリニック

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点滴を避けるには
2008年03月13日 更新

“病院”というのは不思議なところで、「入院」する患者が多ければ経営的には有利です。でも「外来」では病気をよくするため(入院を避けるため)に治療しています。変な言い方になってしまいますが、治療が上手いと病院や医院の経営を圧迫してしまうし、治療が上手でないと潤う、という皮肉な結果になってしまいます。

最近は、ぜんそくの治療法が進歩して、吸入ステロイドや抗アレルギー薬などいい薬の発売が相次ぎ、ぜんそくの治療が容易になってきました。ほとんどのぜんそくの子供たちが発作もほとんど起こさずに、園や学校を休まずに日々の生活を過ごせるようになりました。以前は、秋のぜんそくシーズンになると、発作の入院患者が増えたものです。最近は一部の重症患者さんを除くと、専門医のいる病院では忙しくなるはずの秋でも、病棟は閑古鳥が鳴いているというくらい事態は変わってきています。

私も専門医の端くれ。プロのぜんそく治療を学んできました。当院に通ってくれる患者さんのほとんどが「以前とは比べものにならないくらい症状が安定しました」と言って下さいます。「あれだけ入院したのに、もう入院する気がしません」とか「点滴に通っていたけれど、あれは何だったんでしょう」とも言われます。それはよかったと思う反面、何故?という気持ちも拭い切れません。

私の恩師の先生が中心になって「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」が作成されました。日本を代表する小児ぜんそくの第一人者方が、非専門医の先生に「こうすればプロ並みの治療ができますよ」と教えてくれているマニュアルのようなものです。私は専門施設で勉強してきたとはいえ、特殊な治療をしている訳ではなく、このガイドラインを忠実に守って治療しているだけです。小児科医すべてが、このガイドラインに沿って治療していれば、入院も点滴も、発作時の吸入でさえも減らすことができるはずです。小児アレルギー学会で、小児科医の90%以上が「ガイドラインを参考にしている」と答えていました。ということは、ほとんど小児科医がぜんそく治療をマスターしているはずなのですが…。

入退院を繰り返す患者さんには、治療の切り札的な「吸入ステロイド」が処方されるようになってきてます。しかし“点滴”を繰り返されている患者さんは、予防治療がなされていないケースも少なくないようです。適切な治療をすれば、点滴に通う必要はほとんどなくなります。誤解を恐れずに言わせて頂くと“点滴”に頼った治療は、逆にぜんそく発作を起こしやすくしてしまいます。ビックリされたかもしれませんが、発作を繰り返すことで“発作の起こしやすさ”は確実に増大してしまうからです。発作を起こさない「クセ」をつけるのが、ぜんそく治療のポイントなのです。点滴は、子供にとって嫌な避けるべき治療ですし、発作を起こしたからこそ“強い薬”を使わなければならないのです。点滴を繰り返しているお子さんは、発作を起こさないようにする継続的で予防的な治療をしない限りは、点滴に通う治療から脱却できないのです。「点滴に通って入院せずに済んだ」では解決になっていないのです。

春は秋に次いで発作を起こしやすくなります。ゼーゼーを繰り返す、咳が止まらない、夜も眠れないなどの症状がみられるようでしたら、しっかり治療する必要があります。ぜんそくがあっても診断されていないケースもあります。こういうお子さんが、実はいきなり重めの発作を起こして点滴治療を受けやすいのです。しかし、親御さんがお子さんの咳の状態を理解して早め早めに対応していけば、点滴や入院を避けることは難しい訳ではありません。当院ではそういう極意も外来でご説明しています。

うちの子は咳が出やすい“たち”だからと諦めていませんか?。ゼーゼーを繰り返しても“風邪”だと思っていませんか?。ゼーゼーいう“風邪”なんて存在しませんから、親御さんが正しい理解をしない限りは前に進めないと思うのです。治療すれば症状は確実に治まります。いや、かわいい子供たちのために治めないといけないのです。点滴を繰り返している、もしくは咳の出やすいお子さんは、是非ご相談下さい。