別に休診の案内ではありません。
病院でも医院でも施設長は「院長」と呼ばれています。しかし、当院のホームページをくまなく見て頂いても「院長」の文字はどこにも出ていません。滅多に使いませんが名刺でも「院長」とは名乗っていません。
以前も書きましたが、私には福岡の病院に心の底から尊敬できる先生が二人いらっしゃいます。ぜんそくと呼吸器を中心に指導して下さった先生が、病院の院長であり、日本のアレルギー界の代表をされているのです。すごくスケールの大きいのですが、面倒見のいい方で、私の人生を変えてくれた先生です。周囲に対して影響力が大きく、医師だけでなく病院スタッフ、患者さんからも“院長”“院長”と慕われていました。県内の病院をいくつも勤務させて頂きましたが、私にとっての“院長”はその先生ただ一人です。畏れ多くて自分が同じ名称で呼ばれるなんてあり得ないし、自分が医院を開き施設長になっても「院長」と名乗ることはしたくないのです。
先日、日本アレルギー学会が認定しているアレルギー専門医試験に合格したことをご報告しました。しかし、福岡の病院には“院長”をはじめ、他にも日本の第一人者が多かったので、私は「人並み」、もしくは「並み以下」だったかもしれません(笑)。福岡を経験してしまうと、自分が「アレルギー科」を名乗ってもいい“最低レベル”だと思っています。福岡で修行してきて、新潟の地でこだわってアレルギーの患者さんに対応してみて、重症でも対応できる自信はそれなりにありますし、貴重な経験も積ませて頂きました。自分なりに“進歩”しているつもりですが、福岡の先生方は研究して日々“進化”されていますので、私の場合は今後も頑張っていかないと、追いつくどころかどんどん離され「アレルギー科」と名乗る資格がなくなるのではないかと思ってしまいます。
他の県では「小児科」という看板を掲げた小児科医が多いと聞いていますが、新潟では「小児科・アレルギー科」の看板を多く見かけます。なぜ新潟が多いのかは分かりません。敢えて言わせて頂きますが、すべてが重症患者に対応できる訳ではないと思います。例えば、ぜんそく発作で何日も点滴を行うケースもあるようですが、入院治療の適応は「2時間程度の外来治療で改善しない場合」や「前日から呼吸困難が続き、睡眠障害を伴った場合」です。つまり、発作で具合が悪くなった当日、あるいは翌日には入院の判断をすべきなのです。ご家族にとって入院しないに越したことはなくても、外来で引っ張り続けるのは張本人である子供さんにとってメリットはないと思います。酸素不足で苦しがる子供に「頑張れ、頑張れ」と言っているようなものだと私は思います。そういう場合は、入院加療を行い、一旦体勢を立て直してから、今後は入院を繰り返さないように予防治療を行うのが福岡で習った姿勢でした。福岡の病院では重症患者が多く、日頃から予防治療を行っていてもなお軽くない発作を起こし、点滴が必要と判断されれば、原則入院してしっかり治療をしていました。
「アレルギー学」はそれ程簡単にマスターできるものではありません。福岡で研修させて頂き、その奥の深さに魅せられました。「小児科・アレルギー科」でありつづけるために、患者さんに“適正な医療”を提供するために、感染症だけでなく、ぜんそくやアトピー、食物アレルギーなどについても日々勉強していかなければならないと思います。私にとって「アレルギー科」の看板を守り続けることが責務であり、「院長」に少しでも近づくのが永遠のテーマなのだろうと思っています。


