つい最近、胸が痛む出来事がありました。その前に、ちょっと私が開院を思い立ったいきさつをお話しようと思います。
福岡で小児の“アレルギー学”を学んできて、新潟に戻って参りました。病院勤務の場合は、小児科病棟の回診や他の仕事もありましたので、1週間に午前の一般外来2回、午後はアレルギー専門外来2回というのが、私に与えられた時間でした。私のこだわりで、アレルギー外来は14時から17時までで、ゆっくり話ができるよう1時間で8人という時間配分でスタートしました。最初は「ハイレベルな医療を提供できるつもりなのに何で…」という感じでしたが、徐々に患者さんが増えてくれて1か月以上先まで予約で一杯となり、待ちきれない患者さんが午前中の一般外来にまで多く受診されるようになったのです。そこで、「こんなにアレルギーで困っている患者さんが多いのだから、患者さんのニーズに応えるためにはどうしたらいいか?」と考えた答えが「開業」でした。毎日外来に立つことになりますからね。世の中には勤務や給料に不満を感じてという人もいるようですが、私は上記のような理由でした。
開院にあたってのポリシーは「自分の得意技を駆使して、専門的で“個性的”な医療をやっていく」ことでした。開院して5か月になりますが、上越地方以外でも、中越や下越からも患者さんが来て下さり、自分なりにやり甲斐を感じていた日々でした。
そんな中、上越以外の某市の患者さんが関東の食物アレルギーの専門病院を受診されているという情報を耳にしたのです。そりゃ、我が子のためにベストの医療をという親心でということかもしれません。日本の第一人者の先生に比べれば、私もまだまだなのは致し方ありません。でも、もしかしたらかかりつけで納得いく説明が得られずにということだったかもしれません。上越まで遠かったかもしれませんが、それでも関東よりは近い、、、(涙)。アレルゲンとして卵やミルクは高頻度ですが、当院では大豆や小麦、魚、果物など広く負荷試験を行っています。関東まで新幹線や電車を乗り継いで何時間もかけて行かれたのだと思います。しかもアレルギーの専門病院は問診やこれまでの経過や検査結果をじっくり聞くので、どの施設も共通して待ち時間が長いと思います。そこまで時間をかけて受診されたと思うと本当に心が痛みます。何とか自分のところで食い止めることができなかったのか、と自分の努力不足にガッカリしてしまいます。
いわゆる「小児」の範疇に入る0~15歳のすべてが“小児科専門医”にかかっている訳ではありません。私の記憶が確かならば、半分以上を「内科・小児科」の看板を掲げる“内科医”が診て下さっています。小児医療は実は、内科の先生のご協力なしにはあり得ないのですが、成人領域では食物アレルギーが少なく、負荷試験まで行っている先生はいらっしゃらないと思います。普段はかかりつけの内科の先生にお任せして、食物アレルギーなどのアレルギー疾患は小児科医に頼ってもらえるよう、お母さん方に知って頂く努力もしないといけないと思っています。
当院は、本当に困っている患者さんのために時間をかけ、満足のいくアレルギー医療を心掛けています。熱い想いをホームページで書いても、見にきて下さった方しか目にしてくれない訳です。以前から構想はあったのですが、ミクシィのようなソーシャルネットワークという、同じ興味を持った人々が情報を共有できるようなインターネット上のアプローチをやっていかないといけないのかなと思っています。より分かりやすい医療を、より多くの困っている患者さんのために提供する方法を模索していきたいと思っています。


