小児科 すこやかアレルギークリニック

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負荷試験にかける思い
2008年02月06日 更新

先日の食物アレルギー研究会で、小学、中学、高校のアレルギー疾患の頻度が出されていました。ぜんそく:5.7%、アトピー性皮膚炎:5.5%、アレルギー性鼻炎:9.2%、アレルギー性結膜炎:3.5%、食物アレルギー:2.6%。これは昨年の春に新聞にも出ていたデータです。

こんなにアレルギーを持つ子供が多いのです。春から提出を求められる「アレルギーの管理指導表」も将来を担う子供がこれだけアレルギーに苦しめられているという現実から、行政が動いたんだと思います。

これをみて、「食物アレルギーってぜんそくの半分以下なんだ、たいして多くないじゃん」とだまされないで下さい。よくみると、これは小学生以上の子供です。より頻度の多い乳幼児が含まれていないのです。私の知る限り、この年代の頻度は、私の福岡での研修時代に同僚であった佐藤先生が北九州市で15000人以上の小児を対象として調査した結果が答えになると思います。それによると、0歳:6.3%、1歳:7.6%、2歳:6.0%、3歳:5.2%、4歳:4.1%、5歳:4.0%となっています。上記のデータと比べてみるとアレルギー性鼻炎に次ぐ多さであることが分かります。

当院は、表向きは感染予防のために負荷試験はやらないようにしているのですが、思ったよりインフルエンザが本格的にならないので、依頼がある分は(こっそり?)受けています。昨日、遠方から負荷試験に来られた4歳の女の子に卵の加工品を負荷してみました。ちなみにこの子は卵白の値がずっと「3」以上で、数字の下がりが悪く、某小児科でずっと完全除去を指示されていました。つい先日まで、母は卵成分の含まれない“卵殻カルシウム”まで除去していたのですが、当院を来院3回目にして卵の入ったお菓子を食べることに成功したのです!。正直言って、連れて来たお父さんに「今日は、ちょっと口の周りに蕁麻疹くらい出るかもしれないよ」と予防線を張っていたのですが、周囲の心配をよそにあっさりクリアしました。最近の考え方からすると、行け行けどんどんって訳ではないですが、ある程度は積極的に食べさせる攻めの姿勢をとっても良さそうです。もしかしたら、卵焼きまで行けるのかもっ?って期待させる負荷試験でした。

「食物アレルギー」という学問はここ最近急速に発達してきました。というか理解が増してきたと言うべきでしょうか。7年前に福岡の病院に研修に行った時に、当初はプロのぜんそく治療を学びたいと切望していましたが、一番“腰が抜ける程”驚いたのは「食物負荷試験」でした。そりゃそうですよね、“食べちゃいけないもの”を“食べさせる”訳ですから。当時は新潟でやっている小児科医がほとんどいなかったので、生まれて初めて負荷試験を目の前で見た時にカルチャーショックを受けました。ぜんそく治療を学んで福岡から帰ってきて、食物アレルギーも力を入れなければならないと思い、日々頑張っているつもりです。昨日の子はやや稀なケースだったのかもしれませんが、もしかしたら今後何年も卵の完全除去を指示されていたことでしょう。負荷試験により解除を早めることができたと思いますので、新潟の地で食物アレルギー医療にちょっぴり貢献しているという気持ちになれました。でも先にお示しした通り、食物アレルギーの患者はこんなにも多く、新潟県内に限っても困っている患者さんは相当数いらっしゃると思います。

私は福岡の病院の食物負荷試験の技を伝授して下さった先生を心の底から尊敬しています。こうやって食事制限を解除して患者さんやご家族の気持ちを楽にしてあげることこそが、お世話になった先生への最大の恩返しだと思っています。自分で言うのも何ですが、医療にはこういう気持ちも大切だと思うのです。県内でお困まりのお子さんには対応させて頂きます。遠くから来られても損はさせないつもりですので、相談にいらして下さい。