先日、「卵」を食べて急変した患者さんが受診されました。
1歳前の赤ちゃんで、今回初めて卵料理を食べたそうですが、30分以内に全身が真っ赤かになり、機嫌が悪くなったとお母さんがあわてて当科を受診されました。
食物アレルギーの赤ちゃんが受診した時にまずやるべきことは、ぐったりしていないか、ウトウトしていないかを確認することです。そうだとしたら、ショックという重い病態に陥っている可能性があり一刻を争います。そうでなければ、全身をよーく診て皮膚は赤いだけなのか、蕁麻疹なのか、ゼーゼーはないのか、吐き気はないか、その他をチェックします。幸い、この患者さんは意識もしっかりしており、皮膚症状だけでした。薬を飲ませ、点滴をしましたが、30分後には全身の発赤も軽減し始め、点滴終了時には元通りになっていました。
この赤ちゃんは、当院の受診は初めてではありませんでした。では「症状を未然に防ぐことはできなかったか?」の問いには困難だったのだろうと思います。アトピーなどの症状があればアレルギー検査をやっていたでしょう。その結果、頻度的に一番高い「卵」に対する反応が出ていたのなら「卵は1歳過ぎまでは止めておきましょう」と指導していたと思います。それにご家族もこんなに症状が出ることを知らなかったので控えめでなく、一度に「普通」に食べさせてしまっていたのです。食物アレルギーで強い症状を「アナフィラキシー」といいますが、実はアナフィラキシーをいつ起こしたかという検討では、初回に食べさせた時に生じる割合が案外多いのです。
この子は今回初めて卵のアレルギー検査を調べさせて頂きました。多分反応は出ていると思います。生まれてこの方一度も卵を食べていないのになぜ?と思うかもしれませんが、母の食べた卵の成分が母乳を通して赤ちゃんの体に入ってしまうのです。実際に母乳中に卵のアレルギーの成分が母の食後2時間後くらいに検出されるのが、動かざる証拠です。ほんのわずかにしか含まれませんが、赤ちゃんが元気に母乳をゴクゴク飲めば、「ちりも積もれば山となる」のです。
心配しているのが、これが引き金となってお母さんが離乳食を進めることに消極的になってしまわないかということです。アレルギーを起こしにくいタンパク質を確実に摂るようアドバイスをしながら、不安を軽減できるようサポートしていきたいと考えています。今回はこんな症状が出てしまいましたが、ずっと卵が食べられないはずはないのです。しばらくは除去せざるを得ませんが、今後は「卵」を食べさせるタイミングを図りながら、負荷を考えたいと思っています。


