私は、普段からどんなに忙しくても診察の最中に、“急いでいるんだ”という態度はなるべく取らないようにしています。特にアレルギーの患者が多いので、聞きたいことは沢山あるでしょうし、なるべく丁寧にお答えするのが目的です。
もうひとつ心掛けていることは、なるべく“かしこまった”言葉は使わないようにしています。それでは小児科の主人公である「こども」が緊張してしまうし、お母さんたちに“隙”を見せるためです。「この先生、話しやすそう。あのことを聞いてみようかしら?。」と思ってもらえればしめたものです。
ただ、それでも診察室では聞きたいことを聞き忘れたりすることもあるでしょう。その時はどうしたらいいか?。私は「メール」だと思っています。私の医院にはかかりつけの患者さんからちょっとした相談などのメールが届きます。お母さん方とは結構メールをしている方だと思います。先日、印象的なメールが私の元に届きました。私が月に1回行っている勉強会のお礼に付け加えられた文章です(抜粋)。
『今の息子の肌は昔とは考えられないほどに変わり、きれいになりました。はじめはステロイドを使うことに抵抗があり悪化させていましたが、夫婦で話し合いステロイドを使う事に決め、それも使った量は思ったよりも多く、副作用がでるかもしれないという不安もありました。しかし、今きれいになった息子を見ると副作用もなく、思い切って使ってよかったかなと思っています。体から湧き上がるような痒みも今はほとんどなく、本人もよく覚えてないというので驚きです。』
この患者さんは、乳児期から「超」が付くくらい重症のアトピー性皮膚炎で大学病院まで通っていたお子さんです。遠いし、皮膚症状が思わしくないと私の元に来られたのが最初です。かれこれ4~5年の付き合いになると思います。「ステロイド」は“炎症”を抑える有効な薬です。アトピー性皮膚“炎”の場合には炎症のある部分だけにステロイドを塗るのは「適材適所」と考えられ、効率がいいと思います。私はアトピーで困っている患者さんにはこのような流れで説明し、キチンと塗るという同意が得られてから、治療を始めています。この患者さんの場合もそうでした。
お断りしておきたいのは、ステロイド一辺倒ではなく、保湿剤によるスキンケアも毎日頑張って頂いたことです。最初は皮膚を落ち着かせることは簡単ではありませんでしたが、皮膚を安定させる“クセ”を付けるよう努力していたら、ようやく現在の状態に至りました。この患者さんからの教訓としては「諦めずに治療を一生懸命に続けていれば報われる」ということだと思います。皮膚科や小児科に通院している重症アトピー性皮膚炎のお子さんは多いでしょうが、主治医と患者ご家族の二人三脚で焦らずに、一歩一歩進んでいく姿勢が大切だと思います。
実は、この患者さんは重症食物アレルギーも合併しており、アレルギー検査で調べた項目のほとんどがクラス3~6という状況です。普通に考えると何を食べさせたらいいか皆目見当がつかないと思います。しかし、負荷試験を何回か行っており、卵白が6でも卵入りのお菓子を食べられることを確認しております。他にも食材が少しずつ増えてきています。
このお子さんはかなり手強い患者さんでしたが、今回のメールで私自身もだいぶ勇気づけられました。今後も道のりは簡単ではないでしょうが、気を緩めることなく“二人三脚”で頑張っていこうと決意を新たにしています。


