昨年、乳幼児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの勉強をしたくて、福岡の病院に2度目の研修をさせて頂きに行っていた時のことです。
先日触れた私に恩師の先生が年度末でお忙しそうにされていたので、つい「何かお手伝いできることがありましたら、やりますよ」と気軽に言ってしまいました。その15分後には呼び出され、「じゃあ、これを書くように。締め切りは3月31日だから。」と言われました。
内容は「テオフィリン関連けいれん」について。これはぜんそく治療によく使われてきたテオドールやスロービットなどの内服薬、ネオフィリンという点滴薬がけいれんを誘発しやすいという“疑惑”があり、多くはありませんが後遺症を残したり、死亡例もあると言われています。現時点でもそれが本当なのか嘘なのかはっきりしていないのですが、そのようなヘビーな内容を科学的根拠に基づいて書くというものでした。一般の人向けに書くのならまだしも、同業者が読むような本に載るので、付け焼き刃な内容では先生にご迷惑がかかってしまいます。しかも様々な論文を実際に文章内にいくつも挙げて、理論的な説明しないといけないのです。最初に書く内容を聞いた時に、正直言って「ゲッ」て思いました。「えっと~、今日は何日だっけ?」と考えた時に、思わず絶句してしまいました、、、、、、、、、。そう、その日は【3月24日!】だったのです。とても壮大なテーマなので、普通に考えると間に合うはずがありません。この時程、自分の発言に後悔の念を持ったことはありませんでした(泣)。
6年前も小児科医の教科書に4~5回、気管支ぜんそくについて書かせて頂いていました。一度も締め切りに遅れたことはありませんでした。私にやれないことを指示するはずはないとポジティブに考え、それからは寝ても覚めてもそのことばかり考え、集中して英語や日本語などいろいろな文献を調べまくりました。文章の組み立てを考え、書けそうな気がしてきたのがその3日後。締め切りに遅れるのはご迷惑をかけてしまうと考え、一生懸命頑張り次の2日で書き上げました。何とか締め切りに間に合いました。結局、一部訂正が入りましたが、私の文章を活かして下さいました。その先生と連名ですが「EBM 小児疾患の治療」という本に掲載され、本屋さんに並んでいます。本屋で自分の名前のある医学書を手に取るのは、照れくさいものですね。
いま思うと、あれは「火事場の馬鹿力」だったのだろうと思います。当時は胃が痛くなる程のプレッシャーでしたが、今となってはいい思い出のひとつです。


