最近、気になっているものがあります。
「プロバビリティカーブ」です。これは何かと言えば、x軸に抗体価(食物アレルギーの数値)、Y軸にアレルギー症状の確率をとり、カーブを描いたものです。一般的に抗体価が上がれば、症状が誘発される確率も上がりますので、右肩上がりのグラフになります。
食物アレルギーは、食物負荷試験が最終診断に使われますが、負荷試験をやらない医師にとって、もっとも使われるツールだと思っています。
今回、卵のプロバビリティカーブを添付しますが、緑色の線をご覧ください。2歳以上でのものですが、例えば抗体価が10UA/ml(クラス3)だと約80%の確率で症状が出ると教えてくれます。
今は緑色の線を見ていただきましたが、1歳の青線、0歳の紺色の線と年齢によってカーブを分けています。要は、成長が長じれば、食べられる確率が下がると言っているのです。
専門医はもちろん、非専門医でも活用している人はいるでしょうし、何を今更気になっているの?とお思いでしょう。学会には申し訳ないのですが、逆の意味で気になっているのです。
例えば、クラス4は具体的な抗体価でいえば、17.5UA/ml以上なので、3本のカーブではともに90%を超えそうです。つまり、卵は食べさせてはいけないと指導されてしまうのではないでしょうか?。食物アレルギーにとってとても重要な「食べさせる」という意味において、正反対に活用されてしまうことを危惧しています。
当院は、卵の値がクラス4だろうが、6だろうが卵の加工品を用いて負荷試験を行い、ほとんどのケースで食べられることを確認しています。ですから、正直、このプロバビリティカーブはまったく活用していません。
かえって、親御さんに恐怖心をあおることになると思っていますし、食物負荷試験をやらない医師にとって、都合のいい道具になっていると思っています。
そもそも、クラス6は100UA/mlです。これだと100%症状が出ると言っており、クラス6の患者さんに、実験的に卵焼きやスクランブルエッグを食べさせたの?と思ってしまいます。症状が出ると分かっていて、食べさせたのなら、患者さんは研究材料とされたのかなと疑ってしまいます。
ちなみに、当院ではクラス6の患者さんに何人も卵焼きを使って負荷試験を行っています。当院のパターンで、卵クッキー→カステラ→卵焼きの順で食べさせているのです。8、9割は食べさせているし、症状が出た人も内服薬で治まる程度の症状です。そうです、食べさせ方によって、プロバビリティカーブはどうにでも変わると考えています。
もう一つ、反対したいことがあります。先程述べましたが、カーブは1歳未満、1歳、2歳以上と3つのグループに分けられています。見ると、0歳は一番症状が出やすいことになっています。
この場でも書いていますが、3歳よりも2歳、2歳よりも1歳、1歳よりも0歳で食べさせるべきだと思っています。食物アレルギーは、何年も食べさせないと「固定化」してしまう可能性があります。若い方が融通がきくというか、食べさせやすいのです。
このカーブを鵜呑みにしては、0歳でクラス2以上だと、恐ろしくて負荷試験できないなんて専門医からも言われてしまいそうです。
プロバビリティカーブは、ガイドラインの肝となるデータなのかもしれませんが、私は見直されなければいけないものなのだろうと考えています。



