今日は、昨日触れた「提言」の問題点について触れたいと思います。
アトピー性皮膚炎があると、「経皮感作」を起こしやすいとされます。昨日触れた「提言」は、早期発症の重症アトピー性皮膚炎をキッチリ治療して、以降の「経皮感作」を防いでいると思われます。
既に卵白のアレルギー検査の項目が0から5だったようですが、どの患者さんにも卵を少量から食べさせたのですが、特にアナフィラキシーなど大きな問題も起きなかったそうです。
赤ちゃんに湿疹があると、小児科か皮膚科を受診すると思います。私の経験上、多くの小児科医、皮膚科医が特に早期の場合、アトピー性皮膚炎の診断ができません。
ステロイド軟膏は使うものの、キンダベートなど湿疹を抑制しきれないような弱い軟膏を使っていることが多いようです。いつも言っているように、過少診断・過小治療ではしつこいアトピー性皮膚炎の湿疹を治療することはできません。故に、「経皮感作」をブロックできないと考えます。
そんな状況で、「生後6か月から卵を早く食べさせなさい」という文言が独り歩きする危険性を不安視しています。
小児科医の中で食物アレルギーに深くかかわってきた専門医しか、卵アレルギーを防ぎたいとは思っていないと思います。ハッキリ言わない主治医をよそに、我が子を守りたいと、卵を少量食べさせようとする母親が全国で続出するものと思われます。
最大のポイントは、皮膚をキレイにし、卵に対する反応性も低下させているのであって、多くの小児科医、皮膚科医の管理では、皮膚の治療はかなり中途半端に終わると思っています。何故なら、成育医療研究センターのアトピー性皮膚炎治療は、はるかにレベルの高いものだからです。
今回の「提言」では、日本の第一人者が名を連ねていますが、アトピー性皮膚炎の治療をしっかりとできる医師は何人いるでしょうか?。学会側も、自分達でこのやり方を試していないようで、成育医療研究センターの論文を受けて、この「提言」を出しているようです。
早期のアトピー性皮膚炎の診断は、専門医でも異なると思いますし、ステロイド軟膏の使い方も第一人者であってもバラバラだと思います。敢えて言えば、専門病院が真似て、同じ研究をやっても、同じ結果が出るとは限らないと思っています。
残念ながら、専門医も含めてアトピー性皮膚炎治療を多くの医師が追求してこなかったと思います。だって、食物アレルギーにアトピー性皮膚炎が関係しているなんて、多くの医師が予想だにしていないことでしたから。
そんな状況で、アレルギーに真面目に取り組んでこなかった小児科医、皮膚科医達が知ったかぶりをして、この「提言」を取り入れれば、事故が続出すると思っています。
「提言」を出すのであれば、せめてアトピー性皮膚炎治療のやり方などをもう少し具体的に触れないと、特に重症なアトピー性皮膚炎には、多くの医師が太刀打ちできないと思います。
ちなみに、当院もアトピー性皮膚炎にはこだわってきましたが、成育医療研究センターの先生にはかないません。当院も0歳から少量の卵を食べさせていますが、ごく一部の患者さんですが、じんましんが出たお子さんもいますし、繰り返し吐くという赤ちゃんもいました。これは皮膚の治療が上手くなかったからかどうかは、分かりません。
多分、多くの医師が「家で少しずつ食べさせろ」と口をそろえてそう言うことでしょう。当院では、アレルギー検査が陽性の患者さんには「負荷試験」という形で卵を食べさせて、食べられるかどうかを確認しています。自宅でじんましんが出たり、嘔吐を繰り返せば、ご心配でしょう。
今回の「提言」では、医師の管理下とは言っていますが、「負荷試験」とは書かれていません。私はせめてアレルギー検査が陽性の方は従来通り、医師の目の前で食べさせるべきと考えています。
一部繰り返しになりますが、せめて自分達の施設で同様に行って、危険な症状が誘発されたなかったことを確認すべきだったし、アトピー性皮膚炎の診断や治療を画一化する努力をなされていないのも問題だろうと思っています。皮膚をキレイにして「経皮感作」をブロックするだけの治療がいかに難しいかを多くの医師が知らないのも問題点として挙げられると思います。
申し訳ないですが、今回の「提言」は“フライング”という気がしてなりません。


