先日、咳の長引く中学生の患者さんが受診されました。
「長引く」と言われても、1週間で長いと感じる人もいるでしょうし、1か月という人もいるでしょう。この患者さんの場合、何と4か月でした。
この4月から咳が出始め、いくつかの内科を巡り、学校の養護教諭に勧められて当院に辿り着いたそうです。ちなみに中3なので、内科にかかっていました。
最初にかかった内科では、ある程度咳長引いているということからでしょう、ぜんそくの薬が出されていました。本人も親御さんも効いたという印象はなかったそうです。
確かに4か月も咳が長引けば、風邪ではないでしょう。ただし、ぜんそくと診断するには無理があります。何故なら、10数年間生きてきて、ぜんそく症状をきたしたことが一度もなかったのです。
その辺を確認もせずに、ぜんそくの薬を処方してしまうのですね。ここは他の咳の原因を考えなければいけないところだと思います。
私の場合、15年前に福岡の専門病院でぜんそくを中心に学んできましたが、この患者さんは「ぜんそくじゃないな」と判断できました。ぜんそくに詳しくない医者は、ぜんそくがあるかどうかも分からずに薬を出しているのでしょう。
通っても良くならず、医師もお手上げだったと思いますが、やはり他の医師に紹介することはありませんでした。自分ができないことは、専門医に任せるべきですが、小児科同様に、内科でもまったく連携ができていないようです。
患者さんは他の内科にいき、風邪薬的な咳止めが出されていました。また別の内科に行き、同じような薬が処方されていました。お薬手帳を見て、「何かおかしい」と感じました。
咳止めを飲んでも止まらないのだから、咳止めを出しても結果は変わらないだろうと思わなければいけないのに、延々と処方されていました。内科の開業医を4件回ったようですが、誰も専門医に紹介しようとは考えなかったようです。
その間にかかった医療費は、各医院の儲けになります。これって「おかしい」と思いませんか?。患者さんは信じて通院し、裏切られて、医者を代えることを繰り返していました。
また、おかしいと感じたことがあります。どの医師も原因を追求しようとしないこと。咳止めを処方し、かわそうとしているようでした。確かにぜんそくの薬も出ていましたが、効果はなく、医師がぜんそくにこだわると、患者さんは救われません。
咳が長引く、わりとある病気と言えば、ぜんそくありますが、感染症ならマイコプラズマ、クラミジア、百日咳、結核などを鑑別しないといけないだろうと思います。こういった原因検索が行われず、咳止めが繰り返し出されていることに、違和感を覚えます。
これは小児科という同業者にも感じることで、「何故、原因を探ろうとしないの?」と思ってしまいます。
確かに人間には自然治癒力があります。放っておいても、勝手に治ってしまうことも期待できます。最初に診た医師は、こんな4か月も咳が止まらないとは思っていなかったでしょうが、その後に対応した医師は既に1、2か月は止まらない状態だったでしょうから、原因を究明しようという医師に必要なものが足りなかったのではないでしょうか?。
周りの医療をみていると、原因検索はそっちのけで、咳が出れば咳止め、熱が出れば座薬と抗生剤とか、ワンパターンでかわそうとしている医療をよく目にします。
本当の風邪ならば、ウィルス感染で、特効薬がないため、対症療法で構わないのですが、風邪じゃないものを風邪呼ばわりし、いい加減に対応するのは止めて欲しいと思っています。
繰り返しになりますが、それでも医院には利益が落ちます。適当にやっても、誤診しても、とにかく利益が出るシステムになっています。
この患者さんの結果については、別の機会にでも触れることにしましょう。今日は、医療の「おかしい」を感じていただきたいと言うことで。


