小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

成人の主張2
2016年06月08日 更新

今週末の学会発表の準備をしています。

まず、来週の発表の意図を昨日お示ししました。今日は、3日後に迫った土曜の発表について語ろうと思っています。

ある成人の患者さんが昨年秋にカレーを食べて、蕁麻疹と呼吸困難という症状を起こしました。大人は急変時にかかるとしたら、内科でしょうが、蕁麻疹が出れば皮膚科という選択肢もあるでしょう。

患者さんは、皮膚科の開業医を急いで受診します。抗アレルギー薬とステロイド薬を出されたのみで、「カレーは一生食べないように」と説明を受けました。

よくある皮膚科の対応だと思いますが、これが通常の対応だと思ってもらったら困ります。かなり問題を含んでいるからです。

食物アレルギーで皮膚科にかかる患者さんは、大人も子どももいると思いますが、私の感覚では、食物アレルギーに詳しい皮膚科医は極めて少ないと思います。今回の対応のまずさを指摘し、学会に参加した皮膚科医の頑張りに期待したいと考えています。

今日も水曜日で、某市の小学校に講演に行きますが、もう毎週のように食物アレルギーの対応についてお話ししています。アレルギー症状が出た時にどう対応するかをお話ししていますが、皮膚症状なら抗アレルギー薬で対応します。ステロイド薬は効果発現に数時間かかるため、緊急時に症状改善には期待できないと思います。

今回は、呼吸困難も強く、エピペンと同成分のアドレナリン注射を行うべきレベルでした。せめて気管支拡張薬の吸入をやるべきでした。ですので、患者さんに出ている症状を改善させるだけの治療が全くなされていなかったことになります。

この患者さんはアレルギーを起こしても、その皮膚科にかかることはないでしょう。ご自分の対応は十分だったと思っているでしょうから、また同じようなケースに遭遇すれば、不十分な対応を繰り返すことになると思っています。

開業医の危険性はまさにここにあります。あまりこだわっていない分野は、いつも中途半端な対応をし、それに気づかず、患者さんはその医師に代わりがいるので、そこにかからないようにすればいい訳です。「また同じ対応をすればいい」と思う医師と、「二度とかかるまい」と思う患者さんがいるという構図です。

敢えて言えば、かかる価値もないでしょう。患者さんがアレルギー症状で苦しんでいるのですから、最低でも病院の救急外来を受診するよう指示すべきでした。私なら気管支拡張薬の吸入とアドレナリンの注射を行ったと思います。この状況で、どれだけの皮膚科医がこういう対応をできたであろうと思っています。

まず、皮膚科医のアナフィラキシー対策が遅れているという点が挙げられると思います。小児科医が十分かと言えば、それもまたどうかとは思いますが、皮膚科医よりは吸入をするなどの処置をしたであろうと思っています。ちなみに、私は誤食に備え、この患者さんにエピペンを処方しています。

あとは、指導です。カレーを食べてアナフィラキシーを起こしたので、「カレーは除去」ではあまりにも短絡的です。

現在、当院で精査を進めていますが、原因はカレーに含有するスパイスだと考えています。カレーには何種類ものスパイスを含有しますが、スパイスが使われるのはカレーだけではありません。

ということは、カレーを除去してもアナフィラキシーは起こし得るのです。人間は生きるために食べなければいけませんが、その“食べること”に不安を感じ、行きていくことになります。それに心を痛めなければなりません。

まともな医者なら、食べてはいけないものを見出し、「これは食べてはいけない」、「これは大丈夫」と指し示す必要があります。小児科医も含め、多くの医師が食物アレルギーに興味がなく、いい加減な対応をしていることに私だけでなく、患者さんも多くの不満を感じているようです。

いずれにしても、成人の食物アレルギーは対応できる医師がほとんどおらず、“泣き寝入り”状況の患者さんがあまりにも多いのが現状でしょう。この辺を新潟県内のアレルギーに関心のある医師たちに聞いていただき、改善を促すきっかけになればいいなと思っています。

それが今回の成人の主張です。