アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが大変なことになっています。
以前は、食物アレルギーがあって、食べ物がアトピー性皮膚炎を悪化させていると考えられてきましたが、最近はアトピー性皮膚炎があって、「経皮感作」により食物アレルギーが作れていくということになってきています。
となると、これまでの病気に関わる概念が音を立てて崩れ去るということになりかねません。
また、食物アレルギーもこれまでは悪化すると困るから、アレルゲンを食べるなと言ってきました。今ではむしろ、完全除去は悪化させるだけで、少しずつ食べた方がいいという考え方に傾いてきています。これまた全然真逆の話で、患者さんも困惑してしまうことでしょう。
県内を見渡してみても、食物アレルギーに専門的に取り組んでいる医師はとても少ない状態です。ただ、この辺に先進的に取り組んでいる成育医療センターの大矢先生や神奈川こどもの栗原先生は、新潟の地を訪れそういった講演をされています。昨年も相模原病院の海老澤先生も上越医師会主催の講演会に招かれています。
となると、参加した医師はこういった先進的な話に触れているのだろうと思います。もちろん、食物負荷試験の話も出てきたでしょうが、それをきっかけに負荷試験を始めた小児科医がいるかと言えば、そうではないでしょう。
理論と実践という言葉があります。医師対象の講演会と言えば、日本の第一人者が招かれて、最先端の話をされることが多いのでしょう。そういう話を聞くことって大事なことでしょうが、普通の開業医にどれだけ役立つかという観点でみると、どうなんだろうと思ってしまいます。
日本の第一人者が負荷試験の話をするにしても、食材の選定やどれだけの量をどういう時間間隔で食べさせるなんて話はしません。食べなかったらどうする?とか、軽微な症状が出たらどうする?とか、医師が直面したら困るであろう状況は、講演には出てきません。
アトピー性皮膚炎もステロイド軟膏を使うことは、多くの医師が知っているものの、昨日触れたように、効かないような弱い薬を使っていたり、私の経験上、そこまで必要ないような強すぎる軟膏が選択されていたりと、細かい実践的な話は講演会では出てこないでしょう。
ステロイド軟膏については、多くの医師が副作用が出たらどうしようとおっかなびっくりしながら使っているようです。実際は、そう簡単には出ないことは、多くの専門医が知っていることにもかかわらずです。
医師対象の講演会って、もうちょっと何とかならないかって思ったりします。特に開業医の臨床の場は、理論も大事ですが、実践の方がもっと有益だと思っています。別に自分を売り込むわけではないですが、実践の話なら自信があります(笑)。
卵アレルギーに卵クッキーを用いて負荷試験をやっていますが、多くは問題なく食べさせることができ、そのクッキーに含まれる卵タンパクの含有量を超えないように、家でクッキーその他の加工品を食べてもらうようにしています。
開業医に必要な負荷試験のテクニックで、私はこれで十分だと思うのです。多くの医師が負荷試験をできないから、“念のため”の除去を行っており、場合によっては負荷試験の存在を隠蔽しているか、「家で少しずつ食べさせてみなさい」と危険を親御さんに押し付けるようなことをしています。医師が、もう少し実践テクニックを磨き、患者さんに歩み寄れば、食物アレルギーの診療は飛躍的に向上すると思っています。
私も一開業医。アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそくにこだわった診療を行っていますが、多くの開業医に私のやっていることができなくはないと思っています。そうすれば、負荷試験の充足率が7%足らずなんて報告がありますが、数10%に上がることと思います。アレルギーで困っている子ども達が減るだろうと思っています。
理論より実践、そういう医師向けの講演会が増えた方が、患者さんのためになると思っています。


