小児科 すこやかアレルギークリニック

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2013年11月22日 更新

連日、インフルエンザの予防接種をやっています。

通常の診療に、何十人分の予防接種が加算されるので、大変です。あと1か月はこんな状況が続くのでしょう。

インフルエンザの予防接種と言えば、卵アレルギーを心配される親御さんが結構います。患者さんの不安を払拭できるだけの知識を十分に持たない医師も残念ながら少なくないようです。

卵アレルギーの「た」の字を聞いた時点で「うちでは接種できない」と断るケースや、今日ご紹介するようなケースもあります。

以前も書きましたが、その先生のところで接種を希望している訳ですから、自分ができないのなら、できる専門の医師に紹介するのが筋でしょう。ところが、自分の責任を全うしようとしない医師が多いのは残念なことです。

今回のケースはこうです。

ある小児科に通っており、生後間もなく湿疹があったそうです。そこでは「乳児湿疹」と診断されており、いつものパターンでアトピー性皮膚炎の“誤診”と判断しています。

アレルギー検査を行ない、卵白がクラス3だったそうです。インフルエンザの予防接種を希望されたため、その小児科では薄めたワクチンを使い、テストを行なったそうです。そのテストの結果、3段階に分かれます。陰性、陽性、強陽性です。陰性なら通常の接種が可能で、陽性なら2回に分けて接種、強陽性なら接種は見送るというパターンに分かれます。

この患者さんは、陽性だったようです。医師からは「心配だから止めておこう」と言われたそうです。予防接種のルールでは、分割接種が可能ですが、医師は自分の身も守らないといけないので、そういう結論になったのでしょう。でも、接種してはいけない訳ではないので、なぜ希望しているのに接種しないのか、訳が分かりません。

患者さんには更なる説明がなかったため、「うちの子はインフルエンザの予防接種ができないもの」だと思ったそうです。

ところが、別の小児科で卵の値がクラス3より高いのに、インフルエンザワクチンの接種をした患者さんがおり、疑問に思って当院を受診されました。

本来なら、かかりつけで相談すべきことでしょうが、相談しづらかったのでしょう。また、“打ってくれる”小児科にいくのもありでしょうが、当院を選択されました。

やはり問題は、自分ができなければできる医師に紹介するという連携が上越の地では皆無に等しいのです。私なら、ちょっと極端な話かもしれませんが、自分がインフルエンザのワクチンを断り、その結果、患者さんがインフルエンザにかかり、しかもインフルエンザ脳症といわれる死亡も有り得る重症な状態に陥ったら、私の責任だと感じます。そうならないよう、患者さんが希望されれば、最大限の接種する努力をしています。

他の小児科も、無頓着過ぎるように感じます。いつか事故をおこさなければいいとヒヤヒヤしています。まあ、何か起きれば、その医師が全ての責任を負うことになるのですが…。

こんな感じで、卵アレルギーがあると接種できないと決めつけている医師がいるかと思えば、数値が高くてもテストもせずに接種する医師もいます。患者さんが正しい知識を伝えられず、これでは地元の医療レベルが上がってこない訳です。

まず整理しておきますが、この患者さんは卵アレルギーとは言い切れません。何故なら、卵を食べたことがないからです。卵を食べてアレルギー症状を起こすのが「卵アレルギー」なのですから。

過去にアナフィラキシーを起こした患者さんで、卵がクラス3くらいだった人もいます。つまり、クラス5や6といった極めて高い数値がアナフィラキシーを起こすのであり、3程度では起こさないと思うのも間違いです。何も考えず、テストもせず接種している医院もあるそうですが、足元をすくわれないようにして頂きたいと思っています。

もちろん重症者は、慎重に判断すべきで、テストをやった方がいいと思います。ただ、卵を食べていれば、問題が起こる可能性は低いでしょう。先ほど述べたテストは、とても有効です。当院は重症なアレルギー患者さんが多いですが、それに則ってやって、今のところ問題は一度も起きたことがありません。

今回は、ルールが「接種はできそうだ」と言っているのに、断り、専門医に紹介しなかったことに問題があります。テストは2度皮内に注射しますので、何のために痛い思いをさせたのかと思っています。

お母さんが、他院ではのテストの腫れ具合いを覚えていたため、迷わず分割接種を行ないました。少し接種して30分みて、何も起こらなければ、残りを接種し、また30分みるというやり方なのですが、問題なく接種できています。

患者さんからすれば「お医者さんが間違うはずがない」とお思いでしょうが、大きな声では言えませんが、結構正しくないことを言っています。

今回のクリニックさんから紹介状があれば、「分割で問題なく接種できました」と返事を書こうと思いました。しかし、それがないので返事を返す筋合いではないのです。

地元の小児科同士の連携のなさを指摘していますが、紹介状があれば、私の返事を見て「こういうケースでも接種できるんだ」と分かる訳です。紹介状を書かないと言うことは、自ら新たな知識を持ったり、経験したりすることを放棄しているということになるのだろうと思っています。