先日、発熱の患者さんが当院を初診されました。
最近は、アレルギーでなくとも感染症などで当院を初めて受診されるケースも増えているので、最初はそうだと思っていました。話を聞くと、かかりつけ医が休診か何かで、そんな状況で熱が出たため、当院を仕方なく(?)受診されたようです。
先日も書きましたが、小児科や皮膚科でアトピー性皮膚炎を見逃されているケースが多いのですが、この患者さんも肘に「いかにもアトピー」という皮疹が出ていました。
肘の皮疹の状況をよく問診しなければなりません。つい、そちらの話を先に聞いていると、親御さんはあまり乗り気でないような感じです。親御さんは、とりあえず熱の方だけ診てもらいたいようでした。
ただ、アトピー性皮膚炎が見逃されて、適切な治療をなされておらず、それで改善が思わしくなければ、患者さんが気の毒です。親御さんは乗り気でなくても、見つけた以上は、専門医としてある程度は話す必要があると考えました。
まずは、ご希望通り、熱の原因を探らなければなりません。若干、朝晩が過ごしやすくなりましたが、まだ夏風邪がみられます。のども赤く、夏風邪の可能性が高いと考えました。
他の小児科がかかりつけの場合、発熱=抗生剤を処方されるものと思っている親御さんもいます。当院では、夏風邪の可能性が高いと考えると、それはウィルス感染症なため、抗生剤は処方していません。
多分、風邪薬が欲しくて、当院を受診されていますので、「抗生剤すら出してもらえなかった」なんて不満に思ってもらっても困るので、こんなに元気なのだから夏風邪であろうこと、治りが悪く、熱が続けば採血で炎症反応を調べ、必要な抗生剤を処方する旨を説明しました。それはそれで納得して頂けたようです。
それから間髪入れず、肘の皮疹がアトピー性皮膚炎であろうという話をしました。当院をアレルギーで初めて受診される患者さんは、だいたいは藁をもつかむ思いで受診されていますので、最初から私の話に真剣に耳を傾けて下さるのですが、この親御さんは、ゆっくりとそうなっていきました。
このお子さんは、なぜか片方の手首に布切れを巻いていました。徐々に信頼関係が生まれてきたところで、それをほどいてもらうと、掻きむしった皮膚が現れました。手首の方が肘よりも状態が悪く、引っかき傷が目立ちます。そう、実は肘の他に、手首の方がアトピーの状態が悪かったのです。
こういう時は、診察室の机の左脇に置いてあるiPadを手に取ります。当院の治療したケースのビフォー・アフターをみて頂くためです。もちろん、劇的に改善しています。最近は、ステロイド軟膏を積極的に、濃いめに使う方法が提唱されており、私もそれに従っています。それが百聞は一見に如かずで、手っ取り早く私の「腕」を知って頂けます。
その作戦のお陰で、治療意欲も湧いてきたようです。これまでかかりつけで、結局はアトピーが見逃されていて、治療効果もみられなかったようです。的確に診断して、そういうビフォー・アフターを見せられると、嫌が応にもモチベーションは上がると思います。
親御さんからすれば、お子さんの病気の症状を良くしてくれれば誰でも良い訳で、「アレルギー科」を名乗っていても、アレルギーに詳しくない医師も結構います。その辺は、時間を掛けて説明したので、十分伝わったと思っています。
あとは、何度かの通院で、治療効果を示すことでしょう。ちょっと変な言い方になりますが、「熱が出たお陰で」と言ってもらえるよう、頑張るだけです。


