小児科 すこやかアレルギークリニック

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2012年01月10日 更新

福岡から帰ってきました。

私にとって学会や今回のような勉強会は、とても意味のあることです。それは、最新情報を入手できるということはもちろんですが、その他にもメリットはあります。それは、日本の第一人者に自分の抱える困っているケースを相談できることです。

医療は、つくづく「良心」や「責任」がなければできないものだと思います。アレルギーは慢性疾患ですから、患者さんと医師とが二人三脚で病気を克服していくという姿勢が重要です。「オレが何とかしてやる」という熱い気持ちや責任感がなければ、そういったことはできないと思うのです。

先日、某小児科に通っていた患者さんが、「ぜんそくっぽい」と診断?され、そういった薬をもらっていたのですが、その薬を止めるように医師から言われたそうです。帰り際に、その医院さんの看護師が「しばらく止めない方がいい」と言ったのだそうです。

同じ医院の医師と看護師が正反対のことを言っています。普通は、医師の方が医学的知識を持っています。看護師さんは看護のプロですから、医学的知識に差が出るのは当然と言えます。この親御さんからこれまでの話を聞いてみると、すぐに薬を止めない方がいい状況でした。止めると、すぐに症状が悪化する可能性が高い状況だったからです。つまり、看護師の言っていることの方が正しいことになります。

ぜんそくは、ある程度重い患者さんになると、発作を予防するのが、症状を抑え込み、ひいてはぜんそくを治す近道です。アレルギー科を名乗る小児科医なら、常識でしょう。

その先生のところから患者さんが毎日のように逃げてきていますが、アレルギーに全く興味がないとしか思えないような医療をやっています。私のよく言うガイドラインなんてお構いなしです。そういう姿勢からは「良心」や「責任」は残念ながら感じられないのです。

私が福岡の専門病院の扉を叩いたのも、ぜんそくで入退院を繰り返す患者さんを何とかしたいと強く思ったのが理由です。今は、新潟の一番立ち後れている食物アレルギーに力を入れてはいますが、ぜんそくを軽んじたことは一度もありません。

これまで重症な患者さんは、入院施設を持つ病院で治療するというのが慣例になっていましたが、治療の進歩に連れて入退院を繰り返すことがなくなってきました。重い発作を起こした時は入院治療は避けられませんが、日頃の管理は開業医でも可能です。

そんな時代の変化もあり、当院ではかなり重症な患者さんも通院されています。小児ぜんそくのガイドライン通りに治療すれば、ほとんどの患者さんの症状を落ち着かせることができます。実際に、私もガイドラインは積極的に参考にしていますので、当院で診ている患者さんのほとんどが症状が安定していると思います。

ただし、例外があって症状がなかなか安定しない患者さんもいます。

ぜんそく患者さんは、運動することで発作を起こしてしまう「運動誘発ぜんそく」という病態があります。特に寒い時期に、激しいスポーツをするとゼーゼーしやすいと言われています。子どもは部活やクラブ活動があり、運動をする機会が多いため、「運動誘発ぜんそく」を起こしやすい子であっても、それも含めて症状を出ないようにする必要があります。

私の苦慮している患者さんは、ぜんそくがあり、治療により日頃の症状は抑えられていますが、スピードスケートをやった時だけ、本人も負けないよう必死に滑りますから、かなりの喘鳴が出て、呼吸困難を起こしてしまいます。スピードスケートは、リンクはとても寒く、しかも全力で滑るスポーツなので、「運動誘発ぜんそく」がトップクラスに出やすいスポーツなのかもしれません。

「運動誘発ぜんそく」は治療不足の患者さんに出やすいのですが、ガイドラインに沿った治療は既に行なわれています。運動の前に吸入をやったりして防ぐ方法もあるのですが、なかなか上手く抑えられません。他の患者さんでは上手くいっても、この患者さんの場合は、抑えられないのです。

こういった場合は、経験豊富な専門の先生に聞いてみるのが一番です。治療してみて「これ以上は仕方ない」という医師もいるでしょうが、その医師の知識の範囲内で“仕方ない”のであって、他にもっといい方法があるかもしれません。日本の第一人者の先生方は治療の“引き出し”を沢山お持ちなのです。その患者さんに対し、「良心」と「責任」を持って治療しなければなりませんので、百戦錬磨の先生に質問して、解決させる努力はしなければならないはずです。

小児アレルギー学会や今回の勉強会で、いいアドバイスを授けてくれそうな先生に、この患者さんのことを質問しまくりました。日本アレルギー学会の前理事長、アレルギー専門病院の副院長、アレルギーが専門の小児科の大学教授、小児ぜんそくガイドラインの前作成委員の先生に聞いてみました。こう書いてみると、そうそうたるメンバーです。逆に、こういう先生方に相談できる立場にいることを感謝したいと思いますし、そこまでしてでも何とか解決の糸口を見つけたいと思っています。

実際に、ヒントをいくつか頂いてきました。その患者さんが思い切ってスピードスケートをできるように、更に努力をしたいと思っています。