小児科 すこやかアレルギークリニック

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戦闘モード
2012年01月06日 更新

先日、某医院さんで食物アレルギーの相談をし、回り回って当院を受診された患者さんに「食物負荷試験」をやることができました。

そのお子さんは、親御さんがエビとカニにアレルギーがあり、そのせいもあって小学校に上がるくらいの年齢になってもエビとカニを食べられていない状況でした。かかりつけの医院さんにそのことを相談したところ、当院ではなく、病院を紹介されたそうです。もちろん、当院が県内では食物アレルギーを専門に診療していることはご存知なのにです。

結局、病院でも「食べさせてみないと何とも言えない」ということを言われ、当院を受診するように勧められたそうです。患者さんにとって、より良い医療をできるように努力しているつもりです。同じことを周囲の同業者に求めていけないのかもしれませんが、自分ができなければ、できる医師に紹介することは、私なら当たり前のことだと思っています。それをしない医師は、尊敬もできません。

もともと食物アレルギーの診療において、「食物負荷試験」なしに正しい診療はできないと言われています。にもかかわらず、食物アレルギーと診断しておきながら、「食物負荷試験」のことをひと言も言わない医師は、敢えて言えば患者さんの“敵”と言われても仕方ないと思うのです。

懸案であったエビの負荷試験を実施した訳ですが、まず皮膚テストで異常のないことを確認した上で、行ないました。何か起きたら私の責任ですが、何も起きなければ、患者さんはエビアレルギーの呪縛から解き放たれます。医師が自分の責任のことだけ考えていたら、何もできません。

結局、何も起きずエビは除去する必要がないのではないかという結論に至りました。本人も嬉しかったでしょうが、親御さんも除去から解放されるのだと思います。これが「食物負荷試験」の醍醐味です。

かかりつけ医がなぜ素直に当院に紹介しなかったのかは、よく分かりません。よもや患者さんが嫌い、私が嫌いなどという次元の低い話ではないとは思いますが…。いずれにしても、当院を受診して下さってよかったと思います。ただ、心配なのは、他にも同じような患者さんがいて、当院を受診されていないなら、それは患者さんにとって望ましいことではありません。

当院は、年末は28日で診療が終了しました。当院かかりつけの患者さんで、29日に熱が出て、別の医療機関を受診したそうです。そこでの診断は“いつものパターン”でした。マイコプラズマと診断されて、抗生剤の点滴をされたそうです。

地元の新聞にも取り上げられましたが、マイコプラズマの診断は迅速検査では、確定できません。ましてや熱が出て、当日の検査では、以前にかかったことがあるということしか意味していません。ということは、“必要のない”点滴をされた可能性が高いのです。

小児科医は、子どもの病気を広く診る必要があるため、すべての分野に精通することは難しいでしょう。ただ、小児科を受診する病気で最も多いのが「感染症」です。珍しい感染症だと、私も診断できないかもしれませんが、流行している感染症なら、なるべく正しく診断して、適切な治療に結びつけなければなりません。

マイコプラズマの診断も誤解している医師が多いのです。年末にも小児科医のメーリングリストで迅速検査がマイコプラズマの診断の確定には使えないことが話題になりました。もしかしたら、それを見てその検査が使えないことを初めて知った医師もいることでしょう。

多くの小児科医が見ているはずなので、迅速検査による「誤診」が減るだろうと思っていました。ところが、軌道修正されてされていない姿にガッカリしました。これも患者さんの“敵”と言えるような行為になってしまいます。

医師は、「武士は食わねど高楊枝」的なところがあって、私なら点滴をすれば儲かることは分かっているけれど、しなくていい点滴はしないようにしています。ぜんそくも適切に診断して、ガイドライン通りに治療すると症状はじきに落ち着いてしまいます。症状が改善しない方が何度も受診してくれれば、経営も有利になります。

要は、ちょっとずるい方がいいのかもしれません。紹介状を書かない、新しい知見をもとに診断しない、すぐ点滴をしたがるなどは、私なら絶対にやりたくないことです。おかしな“医療”をしても、自分の医院の評価を落とすだけですが、地方都市だと医師が少ないため、おかしな“医療”がまかり通っているように感じています。そういうおかしな“医療”とも、ある意味戦い、そしてなくしていかなければならないのだろうと思っています。

今回タイトルの「戦闘モード」とは別の意味合いもあります。先日、ある方が診療後、当院を訪れて下さいました。

建設業の方から、アレルギーの講演をして欲しいという依頼があり、その打ち合わせがあったのです。22日の日曜に開催されるため、そんなに日もありません。

私の専門分野であるアレルギーを住宅と結びつけるとなると、まず頭に浮かぶのはシックハウス症候群ですが、患者さんが多い訳ではなく、私もあまり詳しくありません。

最近のぜんそく治療は、吸入ステロイドの使用が以前に比べ、かなり押し進められているので、症状を抑えるのはさほど難しくはなくなってきています。逆に、時々触れるように、過剰治療が目立つ程です。

ただ、こういった薬物治療に傾き過ぎて、もう一つのぜんそく治療の柱である「環境整備」がおざなりになっている印象があります。実際、環境整備に力を入れたら、発作回数が激減したという報告もあり、その辺の話を組み込むといいのかなと思っています。

環境という目で見ると、花粉症も触れなければなりません。有名なのはスギ花粉症ですが、イネ科の花粉や雑草系の花粉でも花粉症は起こります。国民の3人に1人がアレルギーと言う時代ですが、その多くがアレルギー性鼻炎であり、花粉症です。ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーはそこまで多くはないのです。花粉症でお困りの患者さんも多いでしょう。

最近、食物アレルギーの分野において「経口減感作療法」が注目されていますが、この治療はある意味、新しいものではありません。

花粉症の治療として、スギのエキスを注射して、身体を無理矢理スギに慣れさせてしまう、という治療法が以前から存在しているのです。7割程の有効性が期待できるのですが、そんなに注目されていないのは、マメに病院を受診し、注射を受けなければならず、期間も3年程かかります。そういう頻度での受診は、仕事をしている者にとっては“有り得ない”ため、普及はしていないのです。

舌下免疫療法といって、パンに染み込ませたスギのエキスを口に含むという、注射しないでも済む方法が実用化に向けて進んでおり、家庭でも治療できるようになるという話になっています。それも高い有効性が確認されています。

こういう住宅や環境に比重を置いたアレルギーの話はこれまであまりしたことがなかったので、スライドを作らなければいけません。もう2週間程しかありませんので、私も戦闘モードに入らないといけません。

7日、8日と福岡でアレルギーの勉強会もありますので、その辺を考えると、スライドを作る時間的余裕もあまりないことが分かります。多少睡眠時間を減らしてでも、準備を進めていかなければいけません。

その前に11日にもエピペンの話をすることになっており、その準備もしなければいけません。その他にもいくつか講演の予定がありますが、プレッシャーに押しつぶされないようにしないといけません。「戦闘モード」に入ってしまえば、緊張感で乗り切れると思っていますので、新年早々頑張っていかなければと考えています。