小児科 すこやかアレルギークリニック

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2010年09月17日 更新

日々書いているように、私は新潟県の子どものアレルギー医療のレベルを是が非でも向上させたいと思っています。

本当に毎日、ぜんそくなのに“風邪”、アトピー性皮膚炎なのに“乳児湿疹”と間違った診断を受けて、適切な治療を受けられていないお子さん達が当院を受診されています。

先日、当院を初めて受診されたお子さんは、咳が長引いていました。近隣の小児科に行っていたそうですが、やはり“風邪”との診断で風邪薬が出し続けられていました。いつも通りの結果なのですが、ぜんそくが隠れているのは明らかでした。

こういう場合は、「ぜんそくです。この薬を飲んでみて下さい。」と言えば、2~3分で診察は終わります。こんな診療をすれば、当院も今の1.5倍くらいの患者さんの対応ができるでしょうし、予防接種も大勢受け付けられるようになります。そうなれば、医院の収益も上げることができるでしょう。ただ、こういうスタイルを私がやってはいけないと思うのです。

それは、ぜんそくが大人に持ち越す可能性のある病気だからです。最初に診断された時が、患者さんへの教育の最大のチャンスだと思います。ぜんそくと言われて、ビックリしないはずはありません。そこで「何でうちの子がぜんそくなの?」となるので、「私はこうこう考えて、ぜんそくと診断しました。ぜんそくにはこういう注意点があり、治療もこうするのがお薦めとガイドラインに書いており、成人ぜんそくに移行しないようにキチンと治療していきましょう。」とまで説明して、質問にも答えて初めてまともな対応と言えると思います。

ここまでやる小児科医はあまりいないと思うので、親御さんは「この人、違うな」って思ってくれるでしょうし、信頼してもらえれば「この先生を信じてついて行こう」となると思います。以前、ぜんそくは8割治るなんて言われていましたが、最近は5~6割とされています。いい加減な治療をしていると、大人になっても発作を繰り返すなんてことになり兼ねません。

アレルギーが専門でない小児科医の中には「発作を起こしたら、また来るんだよ」なんて指導している医師もいるようですが、発作を起こせば苦しくなるし、園や学校も休まなくてはなりません。そもそも、ぜんそくの治療は発作を予防し、発作を起こさないクセをつけるのが重要と言われていますが、予防もせずに発作を繰り返せば、逆に発作を起こすクセが定着してしまいます。その分、大人にぜんそくを持ち越す可能性が高まります。点滴を繰り返すのは、治療のようで“治療”になっていないと言うこともできると思います。

中には、初診時に「この子は、大人に持ち越す可能性が高いな」と思わざるを得ないお子さんもいます。「オレならもう少し違った対応をしたのに…」と思うこともあります。専門医が診ても、成人ぜんそくへの移行を阻止できないくらい重症なお子さんもいるでしょうが、子どものうちに治る可能性のあるお子さんはすべて拾い上げる必要があるのです。

こういう患者さんを見つけて、継続的に治療すべきなのに、点滴を繰り返し、全く予防されていないケースによく遭遇します。ガイドラインには、発作を繰り返す場合は専門医に紹介すると明記されているにもかかわらず、そんなことはまずありません。地元にガイドラインが根付いていない証拠だと思います。

秋になり、ぜんそく発作を起こすお子さんも増えてきました。低酸素を伴う重い発作を起こせば、入院して呼吸困難をすばやく改善させなければならないにもかかわらず、朝晩とステロイドの点滴に何日も通わせる医師もいます。ぜんそくのお子さんがどの医療機関でも適切な治療を受けられるようにと、私の恩師がガイドラインを先頭に立って作成されたので、申し訳ないですが、おかしな医療は地元からなくさせなければならないのです。

冒頭の“風邪”と診断されていた患者さんにぜんそくであることを告げ、説明をし終わると、「あまりに咳が止まらないので、本当に何件も医者を渡り歩きました」と告げられました。逆に言えば、何件も渡り歩かなければ、真実に辿り着けないというのも問題はあるでしょう。

ただし、「咳が長引く」=「アレルギー」とは限らないので、アレルギーの専門医に辿り着くとは限りません。大事なことは、咳が止まらないから何とかして欲しいと相談に来られる訳ですから、アレルギー専門でなくても、その信頼を裏切らないよう真正面からぶつかっていくべきだと思います。症状が良くなっていないにもかかわらず同じ薬を出し続けるのはマナー違反だと言っていますが、ぶつかるべき患者さんを“かわしている”のでは?と感じてしまいます。

1週間経って再診して頂きましたが、ぜんそくの治療がよく効いてくれて、長引いていた咳があっという間に聞かれなくなり、「ビックリした」そうです。そういう時は、「これが専門の差です」と言うようにしています。親御さんにしてみれば、小児科医なら誰でも実力は同じと考えていると思います。しかし、診る人が診れば実際はこんなにも違うものです。専門(実力)の差を知って頂くことも、ある意味、地元の患者教育の一環だと思っています。

本音を言うと、“良心”の差だと思っています。それは私が極めて特殊な知識を持っている訳ではなく、私が参考にしているガイドラインも専門医のためでなく、どちらかと言うと専門でない先生のためにあるからです。「絶対に良くしてやろう」と思えば、問診も診察も本気でやります。最初は風邪と診断しても仕方ない場合もありますが、改善しなければ「風邪じゃないんじゃないか」と考えなければならないし、いろいろな可能性を考えれば、アレルギー専門医でなくとも「ぜんそくかな…」と疑うことはできると思うのです。

やっぱり医療に大事なのは、良心なんだろうというのが今日の結論です。