ワールドカップのサッカーの試合を最後まで観ていました。
延長戦にも及ぶ死闘を演じ、日本はよくやったと思います。確かに悔しいけれど、力を出し切った清々しさも感じました。やはり、全力を尽くした者にしか与えられない感動があったと思います。
いつも言っていることですが、医療も同じ。患者さんに全力でぶつかっていく“熱さ”が医療にも欠かせないと思っています。
ぜんそくもアトピーも過小診断・過小治療で良くならないという患者さんが、当院を連日受診されています。もし各医師が全力を尽くしていれば、良くならないという患者さんは減るはずでしょう。
全力を出していれば、「なぜ良くならないのか?」と悩むのだと思います。全力を出して、良くならなければ、専門医に紹介するのは当然の発想でしょう。しかし、紹介を受けることはまずなく、専門医が対応しなければならないような患者さんが、良くならないまま通院を繰り返しているケースも少なくないと思われます。各医師が「自分が患者さんに適切な医療をできているのか」を自問自答する姿勢も、“全力を尽くす”ことにつながっていると思っています。
これはアレルギー以外の分野でも同じだと思います。最近、立て続けに2件経験したのですが、熱が出たため耳鼻科を受診し、のどが赤いということで溶連菌を調べたそうです。結果は二人とも陰性でした。しかし、二人とも熱が下がらないと、当院を受診されました。
診察してみると、典型的なアデノウィルスによる扁桃炎と思われました。検査をしてみると、二人ともアデノウィルスが検出されました。溶連菌は抗生剤が著効します。ある意味、調べる価値があるのです。
一方、アデノウィルスは検査で判明しても、抗生剤が効かないため、治療には結びつかないのです。ただ、上越ではアデノウィルスによる扁桃炎がそれなりに流行しており、嫌らしいことに平均で5日間熱が続く病気です。のどが痛くて、食べ物が飲み込みづらく、水分さえもあまり摂れずに脱水に至ることもあります。こういった注意点を予め与えることができるし、5日熱が続くことを知っていれば、熱が下がらなくても、原因が分かっているので親御さんの不安は最小限にすることができると思っています。やはり調べる価値はあると考えています。
上越の感染症情報の“感染性胃腸炎”には、ロタウィルスもアデノウィルスもノロウィルスも含まれるようです。“感染性胃腸炎”と一括りにされているようですが、私は原因追及すべきだと思っています。
先日、嘔吐を繰り返したお子さんが、下痢も強めにみられたため、単なる胃腸炎にしてはおかしいと思い、ロタウィルスを調べてみました。案の定、ロタウィルスが検出されました。祖母が吐物を掛けられ、移ってしまったそうです。ロタウィルスは、高率に乳幼児に脱水を起こさせやすい病気です。大人でも移ってしまうことがあります。一方、普通の胃腸炎は、そこまでの感染力はないと思います。祖母は嘔吐と下痢が激しく、辛い思いをされたようです。とても感染力が強い病気なため、お父さん、お母さんへの感染拡大を防ぐ必要があり、手荒いを入念に行うよう指導したところ、移らなかったようです。
RSウィルスは、外来で検査しても医療費を請求できないため、調べる開業医は少ないのですが、実はノロウィルスも同様です。当院は全力を尽くしたいがために、なるべく調べています。少し前のことですが、親御さんまで強い胃腸炎症状が出ている中で、お子さんも嘔吐を繰り返していると、ノロウィルスが検出されることも何度かありました。やはり手洗いに注意という指導をすることができました。
やはり、名前の付いている病気は、往々にして重いのです。中途半端な診断をしていると、もしかしたら早めに登園してしまい、その園にロタやアデノウィルスを蔓延させることにつながるかもしれません。診断が的確だと正しい指導と、症状が長引いても、やはり親御さんの心配を軽減させることにつながると思っています。
検査した場合は、一旦診察室を出て頂き、再度入室して検査結果を説明しないといけません。患者さんが多く、2度入室して頂いたりしていると、タイムロスにつながります。ロタやアデノウィルスに特効薬はないので、積極的な治療には結びつきませんが、それでも原因追及は必要だと思います。全力を尽くす医師が増えればいいなと思っています。


