以前も触れましたが、都会の大病院の皮膚科で治療を受けていたアトピー性皮膚炎のお子さんが、引っ越し後に当院で治療しています。
小さいうちからアトピー性皮膚炎と診断されており、皮膚科の先生なのに食物アレルギーの関与も考えてアレルギー検査が行われていました。皮膚症状が落ち着かなければ入院で症状を抑えましょうと説明されており、「やっぱり都会の先生は違うな」と思っていました。
ただ、よくよく話を聞いてみるとステロイドの使用量が極めて少なく、明らかにガイドラインの薦める量からするともの足りません。また乳児でもないのに卵、牛乳、大豆を完全に除去することを薦められていました。少なくとも加工品は食べられるはずで、「食物負荷試験」も行われていませんでした。
当院で治療を始めさせて頂いて1ヶ月以上になります。ステロイドをかなり少量使うのみで、皮膚はかなりきれいになっています。初診時は結構重症なお子さんだと思っていましたが、皮膚の炎症を充分に抑えるだけの治療がなされていなかったのだと言わざるを得ません。
市外の方なのでちょくちょく受診はできないと思いますが、既に「食物負荷試験」は2回やっていて、これまで完全に除去を薦められていた牛乳と大豆が食べられることを確認しています。これまでの3つの食品を完全に除去するのとは大違いで、食事の準備がだいぶ楽になっただろうと思います。
先日も、大豆の負荷試験に来られた時に、お母さんと「前の主治医の先生に今の皮膚を見て欲しいくらいだよね」と言っていました。紹介状を持ってこられなかったため、私は現在の状況を知らせることができないのです。
いつも言っている通り、アトピー性皮膚炎に関して医師の方針は大きく変わります。本来、医師間の知識や技術の差をなくし、均一な医療を受けられるようにガイドラインが作成されたにもかかわらず、一部でお構いなしの対応が取られているが現実です。ただ、この患者さんの前の先生は一生懸命やられていたのは、お薬手帳を見れば分かります。
一般的にステロイドの使い方は小児科医は上手ではありません。ただ食物アレルギーは皮膚科医はあまり詳しくないはずです。乳幼児のアトピー性皮膚炎の治療は、食物アレルギーの関与を考えながら進めていく姿勢が求められると思われ、大抵はこういう対応になっていますが、皮膚は皮膚科、食物アレルギーは小児科では足並みが揃わないことでしょう。
小児科医は皮膚の状態が落ち着かなくてもあまり皮膚科に紹介しないし、皮膚科医は食物の関与を否定する医師も少なくなく、「もうちょっとトータルで対応して欲しい」と思われるケースが後を断ちません。現在はアレルギー科の標榜も自由で、「アレルギー科」=「アレルギーの専門的な技術を持っている」を表してない状況です。
乳児のアトピー性皮膚炎はかなりの頻度で見られるため、本物の“アレルギー科”の医師が増えない限りは、適正な医療を受けられる患者さんは減らないのだと思っています。


