小児科 すこやかアレルギークリニック

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最近驚いたこと
2010年04月26日 更新

毎日診療していると、驚かされることって沢山あります。ですから、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなっています。

それでも驚かされることが2回ありました。

中学生のお子さんが食物アレルギーで相談に来られました。幼児期に行ったアレルギー検査でさまざまな食品が陽性でした。たいていの小児科医が「アレルギー検査が陽性」=「食べてはいけない」と指導しています。その患者さんは中学生ですから、もう10年も前の話です。

当時は私も福岡に勉強させて頂く前くらいなので、新潟県には「食物負荷試験」をやる医師は皆無だったと思います。そう指導されたのは致し方ないと思うのです。ただ、患者さんは「食べてはいけない」の指示をひたすら守り通していらっしゃいました。

10年以上前とは言え、アレルギーが専門でない先生であっても、卵アレルギーやミルクアレルギーがあっても成長とともに改善していくことはご存知だったはずです。当時医師に言われたことを守り続けていたのです。「大きくなれば食べられるようになる」と一言添えていれば、こんなことはなかったかもしれません。

話を聞けば聞く程、除去しているものが出てきて、10種類以上にもなります。更に、この患者さんはビックリするくらい“誤食”がありませんでした。普通はアレルゲンをちょっとでも口に入れたことがあれば、それをきっかけに「食べられるのではないか?」と考え、解除を進めていくのです。今回は、お子さん本人の記憶による部分が大きいので、本当に10年にも渡り完璧に除去していたのか定かではないのですが、“誤食”から切り崩していく方法は難しいようです。

アレルギー検査や皮膚テスト(プリックテスト)を駆使しても、結局食べられる、食べられないの答えを出すのは「食物負荷試験」しかありません。本人も自分の意志で「これは食べられないもの」と考えていますので、「食物負荷試験」でキチンと食べてくれるかどうかが不安ではあります。

「これだけのものを除去し続けるのはおかしいのではないか?」とご家族が連れてこられたのです。園や小学校でも除去を持続されてきた訳で、聞き漏らしたのですが、何回かは医師の診断書を書いてもらう必要があったと思うのです。医師が診断書を書く時点で見直す必要があったのは事実であろうと考えています。

私の小児科人生において、最も多品目を長年に渡り除去し続けられていたケースです。医師なり患者さんが「おかしいんじゃない?」と思わなければ、何も変わらないと考えさせられました。

もうひとつは、アレルギーではないですが、入院の適応についてです。

1歳になったばかりのお子さんが熱、痰がらみの咳、食欲低下で当院を受診されました。驚いたことに、1週間も前から熱が毎日のように38度以上出ていたのだそうです。もちろん何もしていなかった訳ではなく、他の医院で治療していたということです。

最初はマイコプラズマと診断されていて、毎日点滴に通わされたそうです。親御さんの話によると最初は炎症反応も全くの陰性で、マイコプラズマというよりはウィルス感染と考えるのが筋だと思います。それでもマイコプラズマ用の抗生剤の点滴を繰り返し、さすがに1週間熱が続くので、血液検査を再検したら炎症反応が陽性化してきたため、「治療方針を変えます」といい、抗生剤の種類を替えたそうです。

マイコプラズマの検査が陽性というのが本当であれば、まず薬を他のマイコプラズマに効果の高いものに替えるのが正しいと私は思うのですが、別の薬を選択されていました。さすがに不安になって当院を受診されたのです。

聴診させて頂くと肺に異常音が聞かれ、レントゲンを撮ると肺炎を思わせる所見がありました。それよりも何よりも1歳の子が1週間も熱が続けば、全身状態は相当悪化します。「炎症反応が10を超えていなければ入院しなくていい」と説明されていたようですが、検査が2であっても入院がベストと判断されましたので、ご家族に充分説明した上で、入院して頂きました。私なら聴診やレントゲンで異常が認められなくても、“入院の適応”と考えたと思います。

お子さんが入院してしまうと家庭内は混乱します。一般的には、入院は避けたいのもうなずけます。もう2~3日頑張っていれば解熱してきたかもしれません。ただ、私の小児科人生で1歳の子に1週間も点滴に通わせたことは一度もありません。1歳じゃなくても、仮にもっと体力のある年長の子にでもです。

これをお読みの方が高熱が1週間続いたら、それでも頑張りますか?。普通は「頼むから入院させてくれ」となるだろうと思います。ましてや、ものの言えぬ1歳児です。私は辛い思いをなるべく短くさせるのが医師の役目で、入院加療がベストと考えれば、躊躇せず紹介しています。すべての治療が外来で対応できれば、病院の小児科病棟は必要ないということになってしまうのです。

今回の件は、「食べたら具合が悪くなるかもしれない」、「入院を避ける」ということに注目していたら、思わぬ事態に陥っていたと言えるかもしれません。偉そうに言うつもりはないですが、木だけでなく森を見ることも大事なんだと、自分にもいい聞かせたいと思います。

なお、マイコプラズマの検査を再検してみたら、陰性でした。つまりマイコプラズマではなかったということです。最近もある親御さんが「うちの園でマイコプラズマが3人いる」とおっしゃっていましたが、こういう経験が多いので私は「本当だろうか?」といつも思ってしまいます。この際、マイコプラズマの検査の信頼性についても考えるいい機会だと思っています。