小児科 すこやかアレルギークリニック

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アレルギーだけじゃない
2010年04月13日 更新

アデノウィルスという感染症があります。咽頭炎や扁桃炎を起こすウィルスです。

喉が痛くなり、診察すると扁桃腺に膿が付いているのが見えることもあります。この病気の嫌らしいところは、インフルエンザのタミフルのようにいわゆる特効薬がないことです。しかも高熱が平均で4~5日続きます。

この病気は喉を綿棒でこすってそれを検査すると、院内で調べることができます。診断が確定しても、あいにく抗生剤などの薬が効かないので、治療に結びつかないのが残念なところです。「熱が4~5日続くだろうから、水分をキチンと摂って乗り切って下さい」とお話ししています。

もしアデノウィルスと診断されていなければ、例えば風邪と診断されていて、高熱が5日も続くと親御さんは不安になると思います。「本当に風邪なんだろうか?。別の医者に診てもらった方がいいのではないか?。」と不安は募ることでしょう。でも「アデノウィルスで5日熱が続く病気です」と事前に知らされていると、不安も最小限に抑えられると考えています。

この場でよくRSウィルスについてお話ししていますが、これもアデノウィルスと同じことが言えます。幼児がかかると高熱が5日ほど続くことがありますし、ひどい咳込みと鼻水が出ます。夜も起きてしまうほど強烈な呼吸器症状が起こします。呼吸する度に痰が震えて高頻度にゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が聞かれます。幼児なので言葉でうまく表現できないだけで、シビアな呼吸困難の原因になり、さらに容赦なく高熱が続くこともあり、結果として入院することも少なくありません。乳児では、気の毒なことに呼吸不全による死亡例もあるのです。

上越では昨年の12月頃からRSウィルスが流行しています。RSウィルスの診療の最大の問題点は、医師が疑っても検査しない傾向にあることにあります。外来で検査すると医院の持ち出しになるのです。損をしてまで検査をしないと考える医院も存在しておかしくないはずです。「ゼーゼーいう風邪」とか「RSっぽい」なんて言っている小児科医も多いと思います。RSウィルスについて、真実が伝えられていないケースが多々あると思っています。

よく開業医は軽い病気を診てもらうかかりつけで、重くなったら総合病院に行くものと考えている親御さんもいらっしゃると思います。地元では、熱が続いて、ゼーゼー言っているのに“風邪”と診断されて、点滴を繰り返され、良くならないので病院に行ったらRSウィルスと診断されて入院になったという話を時々聞きます。昨日もそうおっしゃるお母さんがいました。ここで理解して頂きたいのは、開業医だからRSウィルスが分からなかったのではないことです。病院でなければ調べられない訳ではなく、調べる気さえあれば、開業医でも簡単にRSウィルスかどうかを検査できるのです。つまり医師のポリシーの問題ではないでしょうか。

私はいい加減なことをするのは好きではありません。RSウィルスを疑ったら調べています。アデノウィルスのように特効薬がないので、検査が陽性でも治療に結びつかないところが残念なところですが、、熱が続いても、ゼーゼーしても、咳で吐いたり眠れなくても、原因がRSウィルスだと分かると、親御さんの不安は軽減すると思います。状態が多少悪くても「RSのせいなんだから仕方ない。もう少し頑張ってみよう。」と考えて頂けると思います。

また、どんな状態になったら入院になるのかも説明しています。私はそこまで話さなければ説明不足だと考えています。RSウィルスは入院するリスクはかなり高いと思われ、実際に昨年12月から20人近くを近隣の病院に入院目的に紹介しています。

今日のトピックスの上の部分の「RSデータ」というところを開いてみて下さい。昨年の12月上旬から4月上旬までの当院におけるRSウィルスの陽性の患者数をお示ししています。感染症情報は1月の最初をスタートに1週間ごとに区切り、その週の患者発生数を表示する方法をとっています。同様な方法で感染症情報を出している医療機関もあるようです。

数字をよく見て下さい。昨年12月から切れ間なくRSウィルスの流行が続いていることがお分かりだと思います。1月28日の記事にも書きましたが、かかりつけの患者さんが言っていた「0は有り得ない」のが見て取れると思います。また地元紙の上越タイムスにRSウィルスの記事が出たことがありますが、病院の小児科医がRSウィルスの流行により、1日に何人も呼吸不全を起こした患者さんの入院があるということも合点がいくと思います。当院はアレルギーの患者さんが多いので、感染症の多い医院さんでは、当院の倍くらいの患者さんが確認されてもおかしくないのではないでしょうか?。

これで開業医だからRSウィルスが分からなかった、のではないことがご理解頂けたと思います。医師が何を求めるかによるのだと考えています。更に悪いことに、RSウィルスに一度罹患すると、気管が弱くなり10年の永きに渡りゼーゼーを繰り返しやすくなると言われています。それだけ長期間影響を与える嫌らしいウィルスなのです。私ならRSウィルスを調べない方がおかしいと思いますし、良心的でないと思います。

RSウィルスは、軽ければ鼻風邪程度で治ってしまいます。私も軽いものは区別できていないと思いますが、ゼーゼー言ったり、咳き込んで眠れないなど風邪で説明がつかない場合は、だいたい調べています。当院だけでこの4ヶ月間で83名のRSウィルスの患者さんを確認していますが、陰性のことがあります。つまりそれだけ医院の持ち出しも多い訳ですが、患者さんに真実を伝える努力をしなければ、納得してもらえる医療はできないと思います。

昨日は過小診断、過小治療で困り果てているアレルギーの患者さんの話をしましたが、感染症でも「これでいいのか?」と思える問題は存在していると考えています。

当院の最近のデータを見て分かる通り、ここ最近は増加傾向にあります。今週に入っても数人確認しています。幼児の場合は高熱の出るケースが多かったのですが、最近は熱の見られないケースが見受けられます。これは推測ですが、新学期が始まったこともあり、RSウィルスと診断されていない患者さんから感染が広がっているような印象を受けます。RSウィルスは春には終息するのが一般的ですが、今年は大流行したシーズンでしたし、今しばらくは注意が必要だと思っています。