小児科 すこやかアレルギークリニック

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うらやましい
2010年03月16日 更新

先日、ある小児科で湿疹の治療しても良くならないと、お母さんが赤ちゃんを連れて当院を受診されました。

医師の仕事は、患者さんが症状があって困っている訳ですから、まず診断が必要です。そして、病気の重症度を見極めて、それからその重症度に合った治療法を選択するのが大切です。アレルギーの場合は慢性の病気ですから尚更に長期戦略が必要ですし、アレルギー疾患の各種ガイドラインにはそのように書いてあります。

当院を受診される患者さんの場合、ぜんそくもアトピーも診断さえ正しくないことも少なくなく、地元におけるアレルギー医療のレベル向上は不可避だと思います。ただ、患者さんには「診断を付けなければ治療に進めませんよね?」と繰り返しているせいか、診断を付けられるケースが増えてきているように思います。

そのお母さんはとても真面目な方のようで、これまでかかっていた医院さんの過去の処方をクリアファイルに1枚残らず保管していらっしゃいました。パラパラと見てみると、治療は良くならないのに、同じ薬が出されていました。結局、良くならなかったのは、治療が重症度に合っていなかったのと、ちょっとした見落としがあったからです。この辺は、専門的な知識が必要です。

アトピー性皮膚炎のガイドラインによると、1ヶ月程度治療して良くならなければ、専門医に紹介するよう推奨しています。残念ながら、これは皮肉なことに専門医しか知らないと思います。そもそも、アトピーのガイドラインに基づいて説明を受けている患者さんに遭遇したことがありません。本来、ガイドラインは専門でない先生が専門医並みのレベルで治療できるように作成されたものなのですが、専門でない先生には浸透が足りないように思います。

私の知人で県外で開業しているアレルギー専門医の先生のもとには、小児科や皮膚科医からも紹介がくるようになったそうです。

自分で治療しても良くならなければ、専門医に紹介するのが良心的というか、役割分担だと思っています。これだけ医療が細分化されてきているのですから、そうしない方がおかしいと思うのです。

多分、その先生の地元では、医師の間でアレルギーという学問があることが認知されているのだろうと思います。自分の力を知っていれば、どこまで対応して、どこから他の医師に任すのかを理解できていると思うのです。

それが証拠に、皮膚科の先生からも紹介があるそうです。アトピーのガイドラインにも、悪化要因に食物アレルギーが挙げられることが明記されており、一般的に皮膚科の先生は食物アレルギーには詳しくないですから、皮膚の治療をしてもよくならないケースは食物アレルギーの関与を心配し、紹介してくると思うのです。

皮膚科と小児科医の間で、アトピーの悪化要因として食物の関与があるかどうかは長年議論されてきたところです。最近では、一部の皮膚科医に認知されてきており、友人の先生の地元では認知されており、私の地元ではされていないのでしょう。こういう医師の間、地域の間でも格差をなくすのがガイドラインなのにです。

一人の医師が、何でもできる時代はとうに終わっていると思います。小児科や皮膚科、耳鼻科、眼科など地域の医師達が専門分野を活かして、地域の患者さん達を守るのが本当の意味の地域医療だと思っています。

少なくとも、治療して良くならないにもかかわらず、同じ薬を出し続けるのはマナー違反だと思います。分からないことを「分からない」と言うことは、私は恥ずかしいことだとは思いません。私の地元のアレルギー医療は、もっと成熟しないといけないと思っています。

私は友人の先生の地元がうらやましいと思っています。しかし、うらやましがっても何も変わらないので、アレルギーの専門かどうかで治療に差が出てくることを知って頂くことも患者さんへの教育と捉え、アレルギー学の奥深さを知って頂く努力を続けていきたいと思っています。