当院は、子どものアレルギーにこだわった診療をしているつもりです。
もうひとつのこだわりは、「子どもの身になって考える」ということです。具体的には必要のない検査や点滴は行わないというものです。検査や処置が多ければ、医院の収益は上がります。しかし、その方針は開院以来ずっと守り通しています。
食物アレルギーを診る上で、アレルギー検査は重視すべきでないと繰り返しています。数字が高くても「食物負荷試験」をして確かめられる医師ほど、アレルギー検査を何度も繰り返していないのではないかと思います。
ただ、例えば2回調べてアレルギーの値が下がっていれば、「何か食べさせられるのではないか?」と考え、「食物負荷試験」をやる根拠になると思います。ある程度は、検査は必要であると思います。この前、2年間もアレルギー検査をしていないことに気付いたお子さんがいました(汗)。これにはちょっと反省…。
普通、小児科は当院のようにアレルギーの患者さんが多い訳ではなく、やはり感染症が多いと思います。最近は、熱のお子さんも増えました。やっと“小児科”として認知されてきたようです(笑)。
感染症を診るに当たっても、そのポリシーは通しているつもりです。風邪は1~2日熱が出ることはよくあり、元気がよければ採血の必要はないと思っています。ただし、3日以上熱が続くと「風邪ではないんじゃないか」と考え、検査させて頂いています。
先日、ぜんそくのより専門的な医療を求めて当院に移ってこられた患者さんがいました。過小治療でしたので、治療をステップアップして調子は良くなっている矢先のこと、熱が出ました。
ぜんそくは、風邪を引くと悪化することがよくあります。最初は風邪だろうと思っていましたが、熱が続いた状態で再診されましたので、血液検査をさせて頂くことにしました。炎症反応(CRP)といって、細菌感染なら数値が高くなり、ウィルス感染なら低いままの検査をしてみることにしました。
結果は正常なら0.3以下のところが6くらいありました。これだと体にばい菌が入って、大暴れしていることを意味しています。折角落ち着きかけたぜんそくもやや悪化してきており、一番効率のいい治療をしなければなりません。当院は無駄な点滴をしない方針ですが、今回は点滴が必要だと思いました。翌日に熱がすっと下がることも多いので、翌日も再診して頂きました。
私の経験では、7割以上の確率で熱が下がっている印象を持っていますが、翌日も熱は続いていました。さっきのアレルギー検査の話ではありませんが、2回調べて下がっていれば、治療は有効で、病気の勢いが弱まっていることを表しています。検査を調べると2くらいまで下がっています。お子さんに悪いと思いつつ、もう1日点滴をさせて頂くことにしました。
当院は開院して2年半になりますが、2日連続して点滴したことは、このお子さんを含めて数人のみです。このお子さんもCRPは確実に低下しており、点滴終了後に「多分、これで熱は下がると思う」と説明して帰って頂きました。
「もう大丈夫」と思っていたのですが、翌日、電子カルテの待っている患者さんのリストにそのお子さんの名前がありました。スタッフの話では「熱も下がらず、咳も悪化している」とのこと。
「こりゃ、どう考えてもおかしい」ってことになりますよね?。気管支などにばい菌が付いて暴れていたため、CRPも高くなっていました。点滴をしてCRPが下がり、使った抗生剤が有効であることも確認しています。当院では珍しい、ダメ押し点滴までしており、解熱しないのは解せません。
こうなると、抗生剤の効かない病原体が悪さをしていると考えないといけません。私が注目したのは、咳も悪くなっていることです。肺の音も悪化しています。上越では新型インフルエンザはほぼ終息しており、高熱が続き、喘息を悪化させる病気といえばRSウィルスを真っ先に思いつきました。
検査したら、RSウィルスが陽性でした。RSウィルス単独では、CRPは上がりません。ですから今回のケースでは、ばい菌とRSウィルスの両方が悪さをしていて、抗生剤の点滴でばい菌はやっつけたのに、特効薬のないRSウィルスの勢いが治まらず、熱が続き、ぜんそくも悪化したと考えています。2種類の病原体が同時に感染することを混合感染と言いますが、今回もその混合感染だと判断しました。
どこからがRSウィルスの熱かはよく分かりません。最初から両方の熱かもしれないし、途中で切り替わったのかもしれません。小児科医は細菌感染の場合は、CRPをみて病気の勢いを判断すると思います。今回は、まんまと騙されてしまいました。私も修行が足りないなと思いました。
ぜんそくを持つ小さなお子さんが、一番かかって欲しくない病気がRSウィルスです。当院でも熱が5日以上続くケースを何人も経験しています。親御さんも当院を頼って、治療に通って頂きましたが、これ以上引っ張るのはお子さんのためになりません。発作も徐々に重くなっており、入院加療が望ましいと判断し、病院に入院をお願いしました。
RSウィルスは熱が続き、咳も悪化させ、呼吸困難に至ることも多々あります。このお子さんはぜんそくもあり、夜眠れないほど悪化しました。親御さんも入院したくはないでしょうが、相手が悪過ぎるため、入院は致し方なかったと思います。
上越では、特に直江津方面でRSウィルスが流行しています。一時減っていると思っていましたが、確実に増加しています。ご注意頂きたいと思っています。


