小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

食物負荷試験実施施設
2010年03月08日 更新

先月、東京で行われた食物アレルギー研究会に参加してきましたし、発表もしてきました。

その時に、食物アレルギーで困っている患者さんが適正な医療を受けるために、「食物負荷試験」を行っている医療機関を探しやすいようにと、食物アレルギー研究会のホームページから食物負荷試験実施施設を調べられるようにしたことが話題になっていました。

当院もかなりこだわって「食物負荷試験」を行っています。当院も載せてもらっていると思いきや、リストに上がっていません。よく見てみると、みな大きな病院であり、開業医は載せられていません。

「食物負荷試験」を広めるために、日本小児アレルギー学会が昨年春に「食物負荷試験」に関するガイドラインを発表しました。これはいわゆる“マニュアル”に当たりますので、負荷試験に関する手順が書かれています。ただし、残念なことに初めて負荷試験をやる小児科医がベテラン並みに最初から行えるかというと、それは難しいと思います。なぜなら、そのガイドラインに表現できないような感覚というか、難しさがあるからです。

例えば、卵を負荷して、口の周りにちょっと蕁麻疹が出たとします。負荷試験は症状が誘発されたらそこで終了になります。しかし、「もう少しいけるんじゃないか」と思った場合は、負荷試験を続行することがよくあります。普通に考えると、症状の出たところから更に食べさせると症状が悪化するはずです。しかし、何事もなく負荷試験を完了できてしまうこともあるのです。私はその都度、「負荷試験って難しいな」と思います。

この辺は何度も繰り返し「食物負荷試験」をやっている医師のみが持つ経験と勘なのだろうと思います。「勘」で医療するのはどうかと思う反面、あまりにバカ正直に行うと、折角の解除のタイミングを遅らせてしまうことになり兼ねません。

先日、医療は経験年数ではなく、いかにその分野に興味と情熱を持つかで提供できる医療のレベルが変わってくるとお話ししました。「食物負荷試験」に関しては、“何度も負荷試験を行って感覚が研ぎすまされているかどうか”は重要な要素だろうと思っています。

まず食物アレルギー研究会のホームページをご覧下さい。
http://www.foodallergy.jp/
左側に「食物負荷試験実施施設」と書かれたボタンがあり、そこをクリックすると日本地図が出てきて、その地方の実施施設を見ることができます。

その施設の右側に外来と入院における「食物負荷試験」の実施件数が書かれています。実施回数が多くなるに連れて○、◎、星1つ、星2つ、星3つと表示されています。当院は昨年の実績ですと200件くらいはやっていると思います。星の数は1つか2つでしょうか。全国の施設を見比べてみると、外来で当院並みに「食物負荷試験」をやっているのは、医師が複数人いるような大きな病院で8施設程でしょうか。

当院が全国で9番目に外来で「食物負荷試験」をやっているかと言えば、そうではありません。私の友達の浜松で開業している川田先生といい、患者さんのためを思い真面目に日々「食物負荷試験」をやっている開業の先生は他にもいます。先日の食物アレルギー研究会でも発表されていましたが、北九州の岡部先生は7年間で3000例の負荷試験を実施されているそうです。上には上がいるものです。

よく、普段は開業医にかかっているんだけれど、病気が重そうな場合は直接病院を受診するという親御さんも少なくないと思います。これは私の意地でもあるのですが、開業医が軽い患者さんばかり診ている訳ではないことをご理解頂きたいと思っています。大学病院も含め、大きな病院でやっていない検査であっても、やる気があれば充分行うことができると思っています。これは医師のポリシーに関わると思います。

先に述べたように「食物負荷試験」はいかに多くの負荷試験をこなし、充分なノウハウを持っているかがポイントになります。開業医と言えども、負荷を始めたばかりの病院よりは、より安全に的確に「食物負荷試験」を行えるのではないかと思っています。そんなこともあり、多くの負荷試験をやっておられる岡部先生も食物負荷試験実施施設の中に載せて欲しいとおっしゃっていました。

私の前勤務先から数えると600件程の経験があります。当院が実施施設に載せてもらうに充分なノウハウを持っているのかは、よく分かりません。ただ、新潟県では一番多く実施していると思います。実践を積み、こだわって「食物負荷試験」を実施してる開業医も食物負荷試験実施施設の中に入れて頂いた方が、患者さんに分かりやすいし、開業医の方が受診しやすいというメリットもあると思います。

実際のところ、食物アレルギーを持っているお子さんを持つ親御さんの中で、食物アレルギー研究会のホームページをどれだけの数の方がご覧になっているかと言えば、きっとそんなに多くはないと思うのです。やはり地道な啓発活動に勝るものはないのかなと思っています。

新潟は「食物負荷試験」のほぼ未開の地だったことを考えると、当院で年間それだけの負荷試験が行われており、少しずつ信頼を得て認知されていることを表しているのかなと思っています。ただ、これだけでは全く満足していません。上越市のみならず、市外からの希望者も多いので、今後もひとりでも多くの困っている患者さんの力になれるよう努力していきたいと考えています。