最近、食物アレルギー診断書を希望する患者さんが増えました。
既に食物アレルギーがあり、診断書を提出している場合は、多分、こんなやり方が一般的に取られているいるのだと思います。つまり、採血をしてアレルギー検査を行い、数字がクラス2以上の陽性のままなら、前回と同様の診断書を書くというものです。
私の場合、子ども達には悪いのですが、採血をやるのは同様です。ただし、以降が異なります。「食物負荷試験」を行い、これまでの食事制限が適切かどうかを見直すのです。
ある程度大きくなると、1年ぶりの提出となると思います。もちろん、誤食で微量で強い反応を示したお子さんは例外ですが、そうでなければ仮に検査の数値が横ばいであっても、1年経ってお子さんの体も強くなっていることでしょう。その場合、全く同じ診断書を提出する根拠はどこにあるのでしょうか?。当然、見直してその時点で適切と思われる診断書を書く努力をすべきでしょう。
そうしないと、また1年、言い方は悪いですが、患者さん本人、そのご家族、園や学校の関係者が必死になって根拠の薄い診断書をもとに除去や制限が継続されることになってしまいます。
それを避けるのがプロだと思っています。当院は、今週から「食物負荷試験」を再開します。既に予約もだいぶ入っているようです。
今は、食物アレルギーの指導には「食物負荷試験」が必要不可欠になっています。しかし、新潟県内では一向に普及せずに困っています。逆に、実際にあった話ですが、卵白が以前クラス5だったのが少し下がったことを理由に「自宅で卵入りの加工品を食べさせてみて」と言われ、食べさせたら皮膚症状が見られた、なんて有り得ないような指導をされるケースも起きていて、困惑しています。
当院の開院当初から、新潟県内では遅れている特に食物アレルギーの啓発活動を早急に行うべきだと考えていました。開院して2年余り、「食物負荷試験」と言い続けていたら、以前は聞かなかった乱暴な負荷の話を時々耳にするようになり、自分のやり方が正しかったのだろうか?という気持ちも出てきています。
私も男ですから、最初は自分の力でなんて考えていましたが、自分ひとりでは大したことはできないことがこの2年でよく分かりました。そして正しいことを伝えることがこんなにも難しいことかと思い知らされました。そこで思いついたのが、アレルギーの専門医を積極的に新潟に来て頂いて、講演をして頂くことでした。
今年の春から新潟市で学校生活管理指導表(アレルギー用)が開始されると聞いています。これは全国一律の診断書で、記入しやすいように工夫されています。しかし、全く普及していないのが現状です。少しずつこれを使っていこうという自治体が増えているようです。
新潟県の場合は、新潟市でうまくいけば、県内に一気に広がる可能性があると思います。いま計画中なのですが、私の恩師で、この学校生活管理指導表を作った張本人の先生をお招きして、学校生活管理指導表に関する勉強会を行う予定です。
先日もちょっと触れましたが、食物アレルギーの分野における最大のトピックスは「経口減感作療法」です。食べて体をそのアレルゲンに慣れさせるという画期的な治療法です。今までは「アレルギーの原因は一切食べないように」というのが定説でしたが、革新的な方法な訳です。
当院は毎年10月に「すこやか健康フェア」と称して食物アレルギーの啓発のための講演会を行ってきました。過去2回にわたり、食物アレルギーの専門家をお招きしてきましたが、今年の第3回目の「すこやか健康フェア」では、まだ研究段階ですが、この最も新しい経口減感作療法で国内で最も優れたデータを出している専門病院から先生をお招きして講演して頂く予定です。食物アレルギーに悩む親御さんや園•学校関係者の方々に是非とも聞いて頂きたいと考えています。
食物アレルギーは全国的に専門医が少ないがために、患者さんが正しい指導をされていないケースが少なくないことに繰り返し触れています。全国的には患者さんのQOL(生活の質)を上げるために、正しい知識を広めたいとする患者の会やNPO法人も存在します。先日の食物アレルギー研究会で知り合ったNPO法人の方からの依頼を受けて、この春に長岡市で食物アレルギーに関するイベンが行われるのですが、そこでの講演をお引き受けすることになりました。
更に、地元上越市で園や学校関係の方から数件食物アレルギーの講演を依頼されています。これまでは特に地方では「医師の言うことは正しい」と思われていたのでしょうが、「専門科の言うことは正しい」に変わってきているようで、ご指名で依頼されたのは嬉しい限りです。
ご覧のように、この1年は新潟県内で食物アレルギーに関するイベントが目白押しです。一気に予定を書いてしまいましたが、一人で興奮しています。
これまで食物アレルギーの啓発をとひとりでもがき苦しんでいたように思いますが、私の理解者の先生方や関係者の方々の協力を頂きながら、今年こそ正しい知識を広めることができるような気がしてきました。今年をタイトルのような「新潟食物アレルギー元年」と勝手に名付け、まずこの1年は全力で頑張るつもりです。


