先週末、食物アレルギー研究会に参加してきました。
当院のスタッフも言っていましたが、研究会のことはNHKで新潟の方でも放映されていたようですね。最近はニュースに取り上げられたりと注目されているようで、ありがたいことです。
今回の研究会では、食物アレルギー児の頻度が0歳や1歳といった低年齢では10%弱、幼児全体では約5%と報告されていました。これだけの頻度があれば、もっと注目すべき課題だと思っています。どちからというと、医師も含め子ども達の周囲の大人達の意識の低さは否めないと思います。
研究会では、前半は現場の抱える問題についての発表があり、私も医師も含めたレベルアップが必要であると発表してきました。その中で、ニュースでも取り上げられていた問題として、過去1年以内に“誤食”といって、本来除去すべきアレルギー食品を食べてしまった経験を持つ園が29%あるという話でした。これってとんでもない高い数字です。
人間、誰でもミスは起こします。それにしても29%という数字は3人に1人という割合です。食物アレルギーの知識不足がそうさせていると思っています。重症な食物アレルギーの子を持つ親御さんにとっては、安心してお子さんを預けられないくらいの数字です。
ただし、今回の大規模調査では、医師の指示自体がどこまで正しいかの検証はできないと思います。結局、どこまで食べられるかの判断は、アレルギー専門医が「食物負荷試験」をやって決めるのが適切とされています。食物アレルギーの専門医も少なく、「食物負荷試験」をやっている施設も限られてる現状では、そこまでされた上で指示されているお子さん自体が少ないと思われ、食べてはならないとされる食品の指示自体が正確でない可能性もあります。
言い換えると、アレルギーが専門でない小児科医がアレルギー検査を中心に除去を指示した場合と、専門医が「食物負荷試験」に基づいて指示をした場合では、除去品目が異なるために園での誤食の頻度が異なってきます。となると、29%とされる誤食率がオーバーに評価されてる可能性も出てきます。
正直言って、私自身もピーナッツやエビ、ソバといった強めのアレルギー反応を起こしやすい食品は特にオーバーめに除去している可能性があります。なるべく必要最小限の除去を日頃から心掛けないといけません。
こういった誤食の頻度を明らかにし、園関係者や親御さん達に警鐘を鳴らすことは大切なことだと考えていますが、しかし、専門医がなるべく正確に評価すると誤食率はもしかしたら半分以下になるかもしれません。真実を見極めることって本当に難しいと思っています。
今回の29%の中には、きっと「食べても何も起きなかった」というケースも結構あると思っています。しかし、その逆も有り得ます。強いアレルギー症状を起こし、病院に運び込まれたお子さんもいることでしょう。
多くの患者さんが誤食でアレルギー症状を出して辛い思いをしているのであれば、オーバーに食べさせない方がまだマシとなるかもしれません。ただし、好きで病気になっている訳ではないので、食べられるものは食べさせたいという気持ちは親御さんなら誰でもお持ちでしょう。もちろんお子さん自身も、周囲の子達と同じものを食べたいと望んでいるはずです。
ある意味、正しい結論だと思いますが、「完璧な除去」というのは有り得ないんだと思います。研究会でもデータが示されていたのですが、食物アレルギーの年齢分布は1歳が最多で、その後年齢が上がると徐々に低下していきます。“完璧”になり得ない理由はここにもあります。
除去の指導は、過小でも過剰でもいけない。しかし、それは徐々に変化します。常に解除を考えながら指導を考えていかないと、患者さんはもちろん、親御さんや園関係者に迷惑をかけてしまいます。完璧は無理でも、なるべく正しい除去に近づくのは、医師の良心やプライドに影響される部分が大きいのが現状だと思います。
医師の除去や制限の指示が全てのスタートなので、これは私自身にも言えることですが、小児科医は食物アレルギーに関心を持ち、自分の指示が適切かどうか悩み続けなくてはならないのだと思っています。


