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最近の感染症
2010年02月09日 更新

最近、いくつもの小児科や皮膚科を受診しても皮膚症状がよくならないと当院を受診して下さるケースが多いです。

市内だけでなく、市外からも多く、職場の人に勧められたなどと言われることがあります。以前、私の恩師が病院長を定年退職するに当たり、患者さんから“逃げない”という信念を持って、これまでの小児科医生活で送ってきたとおっしゃっていました。

ここで“逃げない”とは、「診断をキチンとつける」、「治療に責任を持つ」、「よくならなければ治療を見直して、いち早く改善させる努力をする」、私はこういうことだと理解しています。

当院を受診される治らない湿疹のほとんどがアトピー性皮膚炎であり、食事との関係、ステロイドの使い方、維持の仕方などアトピーと診断した場合、キチンと説明しなければならないはずのこれらのことが話されていない現状をみて、毎回やるせない気持ちになります。

先日、高熱とひどい咳の赤ちゃんが当院を受診されました。以前、前医で尿路感染症と診断されたようですが、尿の培養検査で多数の原因菌を証明しなければならないはずなのに、検尿で白血球が出ているだけで尿路感染症と診断されているようでした。ということは、尿路感染症の診断自体が正しいと言えない可能性があるのです。にもかかわらず、親御さんは尿路感染症のことが頭から離れず、呼吸器症状が強いにもかかわらず、今回当院を受診しても尿検査を希望していました。

前医ではインフルエンザは陰性でしたので、“風邪”と診断されていたようですが、痰も絡み、夜も眠れないようです。ゼーゼーもしているようだとおっしゃっていました。問診だけで、未だに大きな流行を続けているRSウィルスが原因であろうと考えられました。

案の定、結果はRSウィルスが陽性でした。持続する発熱に夜も眠れない激しい咳がみられていれば、通常は風邪とも尿路感染症とも診断できないはずです。患者さんに的確な診断をすることは、患者教育にもつながる訳です。

親御さんはとても心配しておりましたが、RSウィルスは高熱が5日以上続くこともあるし、呼吸困難に陥り入院することもあると説明していました。結局、熱はトータルで4日ほど続き、咳もかなり出ていましたが、RSウィルスの臨床的特徴をあらかじめお話ししてありましたので、大きな不安に陥ることもなく、乗り越えました。“風邪”と診断されたままなら、より一層不安感が増大していたであろうと思っています。

RSウィルスは調べると医院の損になるとシステムになっています。敢えて調べていない医療機関も多いと思います。確かにインフルエンザのタミフルのような特効薬はありませんので、「調べても意味がない」という医師もいることでしょう。しかし、あらかじめ敵が分かっているからこそ、多少熱や咳がひどくても、耐えきれるというか、対応がしやすいのだと思っています。

私は小児科医として大して実力はあるとは思っていませんが、感染症においても正しく診断することが、患者さんから“逃げない”ことだと考えています。これまで述べてきたように、アトピーの診断のみならず、医師によって感染症の診断すら異なってしまう可能性があるのです。

当院は呼吸器にこだわっているため、RSウィルスは真面目に調べていますが、巷の感染症情報は今回のケースのようにRSウィルスが過小評価されているように思います。まだかなりの頻度で直江津地区を中心に検出されています。新型インフルエンザなどよりもはるかに呼吸困難を起こしやすく、熱も持続することが多く、入院するリスクは結構高いのです。当院でも1日数人は確実に出ており、未だにかなり流行っている感染症と言っていいでしょう。

先ほどの“風邪”ではなくRSウィルスだった患者さんは、よく遊ぶ赤ちゃんが近医で“気管支炎”と診断されており、全く同じ症状だったそうです。予想するに、この子もRSウィルスであり、RSウィルスと確定しないがために一緒に過ごすことにより流行が拡大していると思います。単なる鼻風邪だけの症状なら診断は困難ですが、明らかに“風邪”でない症状なら、感染拡大を防ぐためにも“逃げず”にRSウィルスを調べたいところだと思います。

当院はアレルギーの患者さんが多く、感染症は他の医療機関よりは少ないのですが、それなりに患者さんも増えてきたため、時々この場で「感染症情報」を提示することにしました。特にRSウィルスやマイコプラズマなど呼吸器系の病気は、キチンとした情報を流さなければならないと思っています。

ここ最近の上越では、新型インフルエンザはだいぶ減ってきている印象がありますが、その代わり、胃腸炎が増えてきました。地元の新聞にも感染性胃腸炎の集団発生が記事になっていますが、ノロウィルスと思われます。聞けば園の先生も発症しており、これだけ感染力が強いのはノロウィルスの可能性が高いと考えています。しかし、ノロよりは明らかに症状の軽い胃腸炎もみられます。

その他として、りんご病、溶連菌、おたふく風邪も時々見かけます。前回書いたケジラミ症は拡大するかもしれないと思っていましたが、その後は経験していません。

園で「マイコの人がいる」とよく聞きます。当院は呼吸器にもこだわっており、マイコプラズマも念頭において診療していますが、上越ではここ最近はマイコプラズマはほとんどいないと思います。RSウィルスとは反対に、マイコプラズマが過剰評価されている印象があります。少し前にも書きましたが、マイコプラズマの診断も当日判定できる迅速検査は診断の的中率が高くないとされています。以前触れた診断率の高いPA法でキチンと検査をして頂きたいと思っています。感染症情報を出すからには、より確からしい情報を出すべきでしょう。

りんご病について一言。ある園ではりんご病が流行っており、顔と腕、太ももに特有の皮膚症状が出ており、皮膚科に行ったら「熱がないからりんご病ではない」と診断されたそうですが、私の経験では熱は出ないことの方が多いと思います。

また、少数ですが、りんご病の皮疹が消えないと心配して相談されるケースがあります。通常は5~7日ほどで消失しますが、入浴や日の光に当たった時に赤みが増すということが1~2ヶ月持続することもあります。

少し前に、突発性発疹を1歳過ぎまでに3回診断されたお子さんがいました。普通は3回もかからないと思います。通常は生後6か月から1歳半までにかかりますが、それ以降でも似た症状、つまり発熱後に解熱して体に発疹が出ることもあります。1歳前後でかかる突発性発疹はヒトヘルペス6型ですが、もう少し高年齢になって同様な症状を起こすのはヒトヘルペス7型が原因とされています。3回もと言うのは、熱が出て発疹があれば、突発性発疹と診断を繰り返された結果ではないかと思っています。

RSウィルス、マイコプラズマなど医師によって診断が異なっている可能性があります。特に当院は呼吸器にもこだわっているため、時々になってしまいますが、なるべく正しいであろう感染症情報を出さなければならないと考えています。今後は知っておいて欲しい感染症の特徴なども、触れていきたいと思っています。