この土日は泊まり込みでアレルギーの勉強会がありました。
6日は三条インター近くの会場でぜんそくの講演会が午後4時から開催されるということで、荒れた天候だったので、上越からは2時過ぎに出れば間に合うかなと考えていました。
ものすごい暴風雪で、生きて辿り着けるかなという不安もありましたが、第一人者の先生が来られるので、這ってでも行こうと出かけました。上越インターに着くと、何か変です。入り口で車を止めて、職員がドライバーに一人ずつ何か話しています。
「高速は新潟方面は柿崎ー柏崎間以外通行止めになっている」ということでした。「あちゃー、間に合わないじゃん」と思いましたが、仕方ありません。下道でチンタラ行くしかありません。
一般道も横なぐりの吹雪で、かなりノロノロ運転です。「こりゃいつになったら会場に辿り着けるやら」と思いつつ、運転を頑張りました。言われた通り、柿崎ー柏崎間は特に問題なく高速を走れましたが、その先は通行止めのままで、やはり下ろされました。
間に合わないのは覚悟しました。結局、三条の会場に着いたのは5時半近くになっており、ぜんそくの講演会の出席はかないませんでした。100キロ以上の道のりで、滑りやすい路面、悪天候とかなり疲れました。人間は自然の力には勝てません…。頭を切り替え、第二部の温泉旅館での勉強会の会場を目指しました。
第二部はアレルギーの専門医のみの集まりでしたが、車での参加は私が一番遠くから来たようでした。幹事の先生から「よく来たね」のお褒めの言葉を頂きました(笑)。
第二部のテーマは食物アレルギーであり、私が最も力を入れている、いや入れざるを得ない分野です。講師の先生は、先日のNHKのニュースウォッチ9で食物アレルギーを取り上げていましたが、そこで取材を受けていた愛知の伊藤先生でした。この先生は積極的に「食物負荷試験」を進めており、昨年発刊された「食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン2009」の作成に中心的役割をされたバリバリの第一人者です。聞きたいことは山ほどあります。
こういう先生が参加されていると、人気が高いので近づいて話をすることもなかなかできないことが多いものです。隣に座る機会を得られ、話を充分に聞くことができました。一番聞きたかったのは、私の目下の悩みである、「どうやったら新潟県に「食物負荷試験」を広めることができるか」ということです。
もちろん伊藤先生のご尽力もあるでしょうが、愛知県は食物アレルギーでは全国的にも恵まれた県です。恵まれていないと言わざるを得ない新潟県は、それなりに継続的に地道な作業が必要とされています。その他にも私の知らないことをいろいろと教えて頂き、有意義な時間を過ごせました。猛吹雪の中を命がけ(?)で出かけてよかったと思っています。
7日は伊藤先生の講演の他、他の専門病院における食物アレルギー医療について勉強会がありました。その中で、経口減感作療法の話題が出ていました。これまでは食物アレルギーの原因食品は「食べるな」が基本でしたが、“アレルゲンを食べて体を慣れさせる”画期的な治療法です。これからは「食べるな」ではなく「食べろ」に変わってくる可能性があるのです。逆転の発想とでも言えるでしょうか。
アレルギーの専門病院で、この経口減感作療法において優れた臨床研究データを出している施設から来られている先生もいて、「重症な食物アレルギーはなくなるのではないか」とおっしゃっていました。将来的な話ではありますが、まさに夢みたいな話です。
現時点ではまだ研究段階であり、各専門病院でもやり方が異なっているのも事実です。実用化には時間がかかると思いますし、ある程度、実用化されても、この新潟県で経口減感作療法を行えるかどうかは分かりません。最初は入院の上で最初の導入を行うので、当院のような開業医は難しいだろうと思います。
食物アレルギーで多くの食品を除去している親御さん、アナフィラキシーショックを起こしたお子さんを持つ親御さんには福音だと思います。私自身も経口減感作療法の話を聞くとワクワクします。
これまで書いてきたように、新潟県内でこの治療が行えるようになるかは、まだまだ先になるだろうと思います。新潟県内の患者さんが、すぐには恩恵に預かれないというのも現実でしょう。しかし、食物アレルギーにおいて“時代”は確実に動いています。ご興味のある親御さんも多いと思いますので、当院が毎年秋に行っている「すこやか健康フェア」の講演会で神奈川の病院の先生から経口減感作療法の話をして頂く計画を立てようと思っています。
“時代”が動いているにもかかわらず、アレルギー検査のみで食物の除去や制限を指示されてる患者さんが極めて多いのが現実でしょう。経口減感作療法の話題が持ち上がっても、当院が行える「食物負荷試験」は今後も普及させる必要があります。基本は「なるべく食べさせる」ことであり、“必要のない除去”をなくさなければいけないからです。
実はこの経口減感作療法は、「食物負荷試験」の延長線上にあると言われています。ですから、仮に経口減感作療法が普及してきたとしても、当院が「食物負荷試験」を広める努力は無駄ではないと思っています。
新潟県では“時期尚早”かもしれませんが、患者さん達に希望を持って頂くために、秋にでも経口減感作療法の話をして頂こうと思っています。ご期待頂きたいと思っています。


