小児科医は、なるべく患者さんの家庭の事情にも合わせなければなりません。
まもなくお盆休みです。自宅でご家族とまったりと過ごす人が多いようですが、ご実家に出かけたりするところもあるようです。当院はアレルギーの患者が多いのですが、風邪を契機にぜんそくが悪化したり、アトピーの皮膚を掻き壊してとびひが悪化する子もいらっしゃいます。早く何とかしないと、親御さんも心配で気が気でないでしょうし、お子さんも調子が悪いままではかわいそうです。こじれて入院なんてことは、是が非でも避けたいところです。まさに腕の見せどころと言えそうです。
アレルギーのプロとして、調子を崩している患者さんには、何とか平穏無事にお盆休みを過ごしてもらおうとベストと思われる治療を選択しています。患者さんひとりひとりに、丁寧に問診し、診察して症状に合った薬を処方しています。結構頭を使いますので、正直言って診療が終わる頃にはヘロヘロになってしまいます(汗)。
そんな中、昨年の誕生日にケーキを食べて、じんましんと嘔吐のみられた子が受診されました。卵の入ったビスケットなどは食べていたようですが、ある小児科で、それ以来ずっと卵の「完全除去」を指示されていました。お母さんは、その状況を何とかしたいと思ったそうで、私が食物アレルギーの専門と聞いて受診して下さったようです。
私も頼られると、何とかしなければと燃えてしまいます。前医のアレルギー検査の値はクラス2とさほど高い値ではありませんでした。数字で食べられるかどうかを判断するものではありませんが、5とか6よりは食べられる可能性が高まります。1年も完全除去を続けていたので、シロクロをつけるために「食物負荷試験」の話をしました。前医ではそういう検査が存在するという説明はなかったそうです。
いつも悲しくなるのですが、こういう子に「完全除去」をずっと続けるのはどうかと思うのです。ビスケットくらいはもともと食べていたので、食べられないはずはないと思います。なるべく食べられそうなものは、元に戻してあげる努力は必要です。卵1品でも「完全除去」がどれだけシビアなことか、患者さんの立場になって考えて頂きたいと思っています。
今年の誕生日にはリベンジで、誕生ケーキを何とか食べさせてあげたいと思いました。しかし、誕生日を聞いたら、今月の下旬だそうです…。2週間ちょっとしか猶予がありません(汗)。しかし、当院は、新潟県ではトップクラスの負荷試験の経験がありますが、何とかなりそうな気がしています。お母さんと相談し、誕生日に間に合うように負荷試験の予定を立てました。私も危険を顧みず無理矢理間に合わせようとしているのではありません。当然、勝算はあります。
昨日は、負荷試験を3件やりました。遠い方は100キロの距離を負荷のために受診されました。道中には小児科はいくつもあるのです。やっぱり違和感はあります。小児科医は「除去」を指示したら「解除」の見通しを説明し、「解除」すべく負荷試験をやった方がいいと思っています。
食物アレルギーで、厳しい除去を指示されている患者さんは少なくないと思っています。患者さんには「食物負荷試験」の存在を知って頂きたいし、県内にも負荷試験のできる小児科が増えるといいと思います。患者さんの食事の際のストレスを少しでも減らせるように一人ずつ丁寧に診療していきたいと考えています。


