小児科 すこやかアレルギークリニック

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MRワクチンとアレルギー
2008年09月17日 更新

普段は、かかりつけで予防接種を受けている患者さんが、「MRワクチンを打って欲しい」と当院を受診されました。

この患者さんは、以前から食物アレルギーとアトピー性皮膚炎で、当院で診ていました。予防接種はかかりつけで受けてもらっても良かったのですが、卵アレルギーで心配でかかりつけの先生も“辞退”されたそうです。

確かにアレルギー検査で卵白の値が「5」と高く、まだ卵製品はまったく口にしたことがありません。MRワクチンの中に、「卵」そのものが入っている訳ではありませんが、慎重に行わなければならないと思います。

普段診療していると、MRワクチンやインフルエンザワクチンに対する医師の反応は2通りあると思います。ひとつは、卵アレルギーに過敏に反応して、卵アレルギーと聞いた時点で「うちではできない」と断るタイプ。もうひとつはあまり意に介さずに打つタイプがあるようです。

前者は、かかりつけの責任として、なるべくは接種して頂きたいと思っています。小児アレルギー学会では、アレルギーの強いお子さんのためにワクチン液による皮内反応を提唱しています。それに則ってやれば、アレルギー専門医の元でやらなくても大丈夫だと思います。ただし、ワクチンの接種は主治医の責任の範囲内で行うべきものです。患者さんが心配ならば、その気持ちも分かります。

以前も皮内反応のやり方には触れたと思いますが、実際のワクチンを用いテストした結果は「陰性」と「陽性」、「強陽性」に分けられます。「陰性」はそのまま打っていい、「陽性」は0.1ml打って30分様子をみて、何もなければ残りの0.4mlを接種する、「強陽性」は接種中止し、専門医に相談となっています。ちなみに先の患者さんは、テストの結果、意外に腫れました。「陽性」でした。ワクチンの成分と患者さんの相性が合わない可能性があるという意味です。

患者さんの期待に応えるために、接種に踏み切りました。マニュアル通り、分割接種を行いました。最初に0.1mlを接種し、他の患者さんの診療中も気になっていましたが、何も起きませんでした。30分の経過観察の後に、残りの0.4mlを追加接種をしました。結局、何も起きずお母さんもホッとして帰宅されました。

お子さんにはマメ注射を含めると4回痛い思いをさせてしまいましたが、私も“ご指名”の大役を果たせてホッとしています。アレルギーのある子は、そうでない子に比べてアレルギー反応を起こしやすいものです。数字の高い方は、より慎重な対応が必要だと考えます。

先日、卵アレルギーで相談に来られた別の赤ちゃんは、1歳を過ぎたばかりでした。卵を食べてアレルギー症状を起こしており、血液検査も強い反応も示していました。お母さんにMRワクチンは慎重にやった方がいいでしょうと話をしたら、何と既に近医で済ませてしまったとのこと。卵アレルギーに注意することもなく、あっさり行われたみたいです。

何も起きなかったから良いものの、これは皮内テストの適応のケースだったと思います。ちょっと大胆だったと思います。患者さんにはいろんな可能性を考え、危険だと思えば皮内テストを行い、より安全策を取るべきでしょう。何かあってからでは遅いのです。こういうケースは慎重に対応して頂きたいと思っています。

当院は重症なアレルギーのお子さんが多いので、丁寧に対応しています。昨年のインフルエンザワクチンの時も、必要と思われるケースには皮内テストを行い、今回のような分割で接種をしたお子さんもいました。開院して間もない昨年よりは、更にアレルギーの患者さんも増えたので、手間や時間がかかっても当院は「安全にワクチンを」をモットーに患者さんの期待に応えていきたいと考えています。