小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

何故こんなことが
2008年12月08日 更新

先日、インフルエンザワクチンの予防接種の時間に新患の患者さんが来られました。年は1歳半前でした。

乳児期の生後数ヶ月の時に湿疹が気になり、家の近くのある小児科(アレルギー科)を受診しまた。そこでは“乳児湿疹”の診断で、アレルギー検査を行ったそうです。卵を含めたいくつかの項目が陽性だったので、「卵アレルギー等があるから除去するように」と言われたそうです。その時にお母さんは「湿疹は食べ物によるもの」と考えるようになったそうです。

“乳児湿疹”は短期で治る病気です。でも良くならなかったので、主治医を皮膚科に替えたそうです。診断は特に言われず、薬を塗り続けていましたが、改善しなかったそうです。お母さんは食べ物のせいに違いないと考え、必死に食事の除去に努めていました。

まもなく1歳半になるのに、何と食べているものは「おかゆ」のみで、あとは母乳だけだったのです。普通はとうの昔に与えているはずの、野菜や豆腐、白身魚、肉類などは一切食べさせていなかったそうです。同年代のお子さんはかなりもののを食べているはずなのにです。何と悲しい現実でしょう。

久々に無力感を覚えました。どんなにアレルギーが強くでも、おかゆだけしか食べられないケースは皆無と言えるでしょう。なぜもっと早く自分が対応してあげられなかったのかと、悲しくなりました。

当院を受診されたのは、卵アレルギーがあってインフルエンザワクチンを受診できるかということだったのですが、診察時に一見して分かるアトピー性皮膚炎の症状と、問診票の「鶏卵に対するアレルギー」から食生活を聞いてみて、この赤ちゃんの食事状況が判明しました。

親御さんは素人なのですから、決して責めることはできません。医院の栄養士さんからも栄養指導を受けたことがあったそうですが、これは小児科医の的確な診断やリーダーシップがあってこその栄養指導談のはずです。もう少し向かい合ってあげられなかったのだろうかと思ってしまいました。

アレルギーのプロから言わせて頂くと“乳児湿疹”の診断で、アレルギー検査を調べるのには違和感を覚えます。結果的にお母さんを追い込んでしまっていたので、検査はしない方が良かったのかもしれません。もしくは、アトピー性皮膚炎とキチンと診断した上で、「悪化要因は食べ物だけではないですし、食べ物に関して心配でしたら食物負荷試験をして皮膚の悪化がないかどうかを判断して、栄養不足にならないように頑張っていきましょう」と説明していたら、展開はきっと異なっていたはずです。食物アレルギーが心配でしたら、アレルギー専門医のもとに紹介して下さっていたならば、お母さんもお子さんも必要以上にご苦労されずに済んだと思うのです。

お母さんがお子さんをインフルエンザの魔の手から救いたいと考えて、当院を受診されました。ご希望のインフルエンザワクチンは、無事に完了しています。

幸い発見が遅くなく、現時点では栄養不足が原因による成長や発達にないように思います。おかゆ以外の食べ物は、きっとお母さんの中では、まだ“避けるべきもの”だと思います。今後は、的確なアドバイスを送りながら、お母さんに遅れた食事指導を行いながら、お子さんの皮膚炎の治療のほかにすこやかな健康を守っていきたいと考えています。