小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

それって“誤診”?
2009年07月06日 更新

4日の研修会は、大勢の方にお集まり頂きました。

普段から院内勉強会をやっておりますし、以前勤務していた病院でも平成14年から「アレルギー研修会」と称して園や学校関係者を対象に講師をやって参りましたので、どう話せば理解しやすいかを自分なりに工夫しているつもりです。

食物アレルギーでお困りの親御さん、園や学校関係者、栄養士さん、調理師さんは多いと思います。栄養学について詳しい方からあまり詳しくない方もいます。その辺も考慮に入れて話さなければなりません。また、医学は日々進歩しています。食物アレルギーの分野も目覚ましいものがあります。新しい情報も組み込まなくてはいけません。7年前から講演しているうちに、開始当初のスライドを使えないものも結構あります。

「毎回、同じ話はしない」というのが私のこだわりです。毎回、新しい内容も増えるし、これまでの積み重ねとして、どうしたらより理解して頂けるかを考えているからです。少しずつ深化(進化)させる努力はしています。

1時間10分程だったでしょうか、データをお示ししながら一通りお話を完了しました。最後に質問もお受けし、日頃から悩んでいることや疑問点をそれこそ消化不良にならないようにぶつけて頂きました。

いくつもご質問頂きましたが、こんな質問もありました。「卵(鶏卵)アレルギーの患者さんがいて、卵アレルギーがあるから魚卵も除去するように主治医から勧められている。生物としては違うものだが、魚卵の除去も続けるべきなのか?」というものでした。

最初に聞いた時に、正直な感想はこうでした。「それって“誤診”ですよね」と思ってしまいました。これは質問をされた方のおっしゃることが全て正しいのです。鶏卵と魚卵は生物学的には全く異なるものです。アレルギー体質の強いお子さんが鶏卵に魚卵アレルギーを合併することはあるでしょう。しかし、「卵」の付くもの全てを除去しなければならないということは正しくありません。

親御さんは医師の言葉を信じて、学校でも家庭でも魚卵の除去を続けていらっしゃいました。1日3回の食事や楽しい外食などの時もずっと言いつけを守ってこられたのです。更には園や学校の給食にかかわった人間も、除去するためにどれだけの配慮をされてきたことでしょう。敢えて書かせて頂きますが、医師の勉強不足がどれだけ多くの方々の無駄な労力を生んだのかと思います。

その“魚卵アレルギー”の患者さんには、早く真実が伝わり、無駄な除去は1日も早く中止して頂きたいと思っています。今回、こういう質問が出なければ、患者さんは一生除去を続けられていたかもしれないと思うとゾッとします。

研修会の中でも、卵焼き等の卵料理の除去を求めているのに、プリンやマヨネーズ等の生卵から作る食材はパクパク食べているという、ちょっと首をひねりたくなるケースもあるという話が出ていました。結局、医師にもよるのでしょうが、医師に全てを任せておいてはいけない場合もあるということを表していると思います。

当院が食物アレルギーを専門的にやっていると徐々に広まってきているようで、市内外から多くの受診があります。どれだけ多くの患者さんが大なり小なり“努力”を強いられているのかと思っています。それをなくすのがアレルギー専門医の役目だと思っています。

食物アレルギーに関する啓発活動は引き続き、力を入れて行かなければならないと考えています。無駄な除去や制限をなくしていかなければなりません。

参加者の方から「私の関わっている食物アレルギーのお子さんはすべて先生のところで診て欲しい」というお言葉も頂戴しました。ありがたいことです。食物アレルギーに関する新しく正しい知識をお話ししたつもりですが、私の小児アレルギーに対する熱い思いも一緒に伝わったのなら、嬉しく思っています。