最近は、予防接種の質問がとても多くなりました。
少し前に地元紙にヒブワクチンの記事が載ったそうで、そのヒブワクチンのことや、再開された日本脳炎ワクチンのこと、あと新型インフルエンザと季節性ワクチンのことが多いでしょうか。
先日、中越の某市から受診された患者さんから、「うちの子はインフルエンザのワクチンは受けられますか?」という質問を受けました。
このお子さんは地元の有名な小児科にかかっていたのですが、アレルギー検査を繰り返され数値の高いものを指摘され「あれはダメ、これも食べてはいけない」と言われていたのです。
重い食物アレルギーのあるお子さんは、主要なアレルゲンは陽性のことが多いのです。つまり、卵や乳製品に対するアレルギーを持っている可能性は高いと思います。実際に、卵も乳製品も“完全”に除去することを指示されていました。
卵はカステラ程度で強めのアレルギー症状を起こしています。しかし、当院で「食物負荷試験」をすることによりヨーグルトは食べてられるようになっています。
牛乳も少しは飲めており、ミルクアレルギーはほぼ克服したと言っていいでしょう。つまり、言い方は悪いですが、乳製品については必要のない除去を指示されていたのです。卵はビスケットなら少し食べられるようです。やはり“完全”除去はしなくても良かったのです。
人は何でもそうですが、“完全”を求められると疲れます。食物アレルギーに関しても“完全”除去はかなりキツいと思います。それが「食物負荷試験」ををすることで“不完全”でいいことが分かったのです。お母さんもかなり肩の荷が下りたことと思います。
二つの小児科にかかり、別のことを言われたら親御さんは混乱すると思います。どっちを信用していいか分からなくなると困るので、私はエビデンス(医学的根拠)を示すようにしています。食物アレルギーに関しては、本当に食べられるかどうかを「食物負荷試験」で示せばいいだけのことです。
前主治医との知識や実力の差を充分に分かっていらっしゃると思うのですが、そのお母さんから「うちの子はインフルエンザのワクチンは受けられますか?」と聞かれたのです。「大丈夫ですよ」と答えたのですが、「去年は前の主治医からインフルエンザのワクチンを断られたので」と不安そうな顔をしています。
その表情を見て、「医者の言うことって重いんだな」とつくづくそう思い知らされました。「食物負荷試験」でアレルゲンが食べられることを証明してもなお、昨年インフルエンザワクチンを断られたことがトラウマのようになっているようです。
接種については、医者の立場からすると、責任を持てないことはやらない方がいいのです。ただしそれではちょっと無責任でしょう。お母さんにインフルエンザワクチンを受ける意志があるのです。できる小児科医に紹介するのが筋だったと思います。
ちなみに、私はインフルエンザもMRワクチンもこれまで断ったことが一度もありません。アレルギー体質の強いお子さんでも、全員接種してきました。そう説明しても、お母さんはやっぱり不安のようです。
結局、お母さんの希望で当院で季節性のインフルエンザワクチンを受けて頂くことになりました。私の経験では、まず間違いなく打てるはずです。トラウマを打ち破るべく、「食物負荷試験」のように論より証拠、接種して何ともないことを証明したいと思います。


