小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

髪の伸びが速いと…
2010年06月22日 更新

いきなりですが、巷では「毛の伸びが速いとスケベ」と言われています。

確かに何度か耳にしたことがあります。ネットニュースを見ていたら、これをある大学の先生に本当に質問し、検証していました。「スケベな人が毛の伸びが速いというのは、おそらく思い込みでしょう。キチンとしたデータがありません。そもそもスケベな人の判定が不明確です。」と真剣に答えていました。最後の一言に、「そりゃそうだ」と思ってしまいました(笑)。理論的に説明されると、「なるほど!」と思ってしまいます。

医学は科学ですから、理論的に考えを進めていき、診断をつけてから治療に進むべきでしょう。

先日、中越の某市から患者さんが受診されました。湿疹が長引き、ゼーゼーを繰り返していて、どうしたらいいか?と聞きたかったそうです。当院までは何十キロも離れているのですが、幼稚園の先生が当院への受診を勧めてくださったそうです。有り難いことです。

まず、目の下に一見してアトピーと考えられる湿疹があり、とても痒がっていました。重くはないけれど、診断基準を満たしており、私はアトピー性皮膚炎だと説明しました。近くの皮膚科を受診したそうですが、パッと見て「かぶれです」と診断され、薬が出されたそうです。もしかぶれなら、何にかぶれたとか、どういうことに気をつけなければならないとか、そんな指導はあってしかるべきです。

お母さんは、そうは診断されたものの、違うのではないかと思っていました。なぜなら半年以上も続いているからです。親御さんは申し訳ないですが、その理論的でない説明を見透かしていたようです。「アレルギーかも」と薄々気付いており、当院で「診断基準にも合致しているし、アトピーがあるから、痒く経過が長いのでしょう。」と説明したら、納得されていました。

アトピーの患者さんは、気の毒なことにぜんそくを合併しやすいと言われています。この患者さんも例外ではありませんでした。これも近くの小児科を受診していました。

お薬手帳を見てみると、この春にゼーゼーいったことがあり、ぜんそくとは説明されていないのに、ぜんそくの薬が出されていました。ここ最近も、その時ほどは悪くないものの、痰がらみのひどい咳が長引いていました。その咳に対し、風邪と説明されていわゆる“風邪薬”が出されていました。お母さんとしては、通院しても良くならず、親としてどう対処していいか分からなくなり、それが遠路遥々当院を受診されたきっかけでした。

ぜんそくに関しても、「ゼーゼーを繰り返すのがぜんそくという病気です。お母さんは風邪を引いてもゼーゼーは言わないですよね?。この子もぜんそくがあるからゼーゼーを繰り返しているんです。」と説明すると「そうなんですね」とすぐに理解して下さいました。これもよく言うのですが、「風邪じゃないから、風邪薬が効かないんです」と付け加えると、「なるほど」とかなり納得された感じでした。

ゼーゼーがひどい時に、一度だけぜんそくの薬が処方されていました。それはかなりの確率で効く有効な薬とされています。それを飲んだ時は、すっと症状が良くなったそうです。ということは、“ぜんそくがあるからぜんそくの薬が効いた”訳です。そこまで話したら、お母さんはほぼ全てを理解したと言っていいでしょう。

理論的に考えて、「なぜ湿疹が良くならないのか?」、「なぜ咳が止まらないのか?」をよーく考えればいいのです。ただし、湿疹=かぶれ、咳=風邪なんて先入観で決めつけてしまうと答は見えてきません。アトピー性皮膚炎やぜんそくは、慢性的な病気であり、何度も症状が出ているので、診断できるヒントは日常に転がっています。みる人がみれば、答は簡単です。敢えて言いますが、アレルギーという発想が抜けているとしか思えないのです。

小児科と皮膚科にかかって共通していることは、診察があっという間に終わってしまうことでしょう。症状が出てまもなければ、いわゆる“かぶれ”や“風邪”と区別しにくいかもしれませんが、経過が長ければ気付いてあげるべきでしょう。患者さんは信頼して、通ってくれてる訳ですから。何度も似た症状で通っていれば、慢性の病気を念頭に、診断が間違っていないか考え直すべきなのです。

医療は命や健康を守るのが仕事です。症状が改善していないにもかかわらず、同じ薬を出し続ける医師は多いし、理論的でない説明をしている医師も少なくありません。特に開業医は、患者が減ることを嫌います。医院の死活問題だからです。派手な宣伝を繰り返して集客している医院も存在します。

でも一番大切なことは、期待を裏切らないことだと思います。理論的でない説明をしていると、患者さんはかかりつけとして指名してくれなくなると思います。患者さんからすれば、自分のお子さんをよく分かってくれ、症状を改善させてくれる医師であれば誰でもいいからです。

医師間の知識や技術の差は、患者さんが思っている以上に大きいのは事実でしょう。昨日も触れたように、ぜんそくやアトピーと的確に診断していない医師は、似たようなケースでも同じ“診断”を繰り返しています。当院には、今回のような患者さんが毎日受診されています。咳や湿疹が良くなっていない親御さんは、冷静にかかりつけの説明を思い起こしてみて、理論的でなければ、診断や治療が適切でない可能性もあります。そんな患者さんを一人でも減らすのが私の役目だと思っています。