当院は、子どものアレルギーに力を入れています。
しかし、アレルギーで困っているのは子どもばかりではありません。大人においてもぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症はそれなりの頻度であるのです。
ぜんそくは内科にいけばいいのですが、一つ注意点があります。呼吸器内科に行くべきです。この場でよく書いているように、小児科医でもぜんそくを“風邪”と診断しているケースがあります。消化器内科の先生なら、消化器が専門であって、もちろん勉強されている先生もいるでしょうが、呼吸器の病気はすごく詳しいという訳ではないと思います。
実際に、当院で診ているお子さんの親御さんが、近くの内科で“風邪”と診断されていて、咳が長引いていることもあります。私が話を聞いてみて、「ぜんそくがあるだろうな」と思うと、「呼吸器内科の先生が専門的に診てくれるから、呼吸器内科に行った方がいい」と言っています。
アトピー性皮膚炎も難治のケースもあり、お子さんを連れてきた親御さんの顔や腕をみて「アトピーがあるな」と思う場合もあります。乳幼児の多くはアトピーと診断されていないと問題提起していますが、大人の場合はさすがにアトピーと診断されていることが多いです。しかし、あまり継続治療していないケースも多く、当院で診て欲しいと言われることもあります。
私の印象として、アトピーに関しても皮膚科の先生に技術や知識の差は少なくないように思います。子どもに使うような弱い薬を選択されている場合もあり、「もうちょっとしっかり治療しないと良くならないのに」と思うことがあります。
先のぜんそくの大人といい、診断できなければ治療できるはずがないのです。場合によっては、「私の持っている知識で対応した方が良くなるんじゃないか?」と思うこともあります。しかし、ぜんそくもアトピーも大人まで受け入れ、肝心の子どものアレルギーのお子さんの対応に支障を来したら、元も子もありません。もちろん、自分の力で何とかしたいという気持ちもありますが、呼吸器内科やアトピーをキチンと診られる皮膚科の先生を紹介しています。
大人の鼻炎や花粉症は、当院に相談に来られること自体があまりありません。耳鼻科に直行されるのでしょう。花粉症で目の症状が強ければ、眼科に行って治療を受けているのだと思います。
こうみてくると、症状が重めであれば、専門医を頼らなければなりませんが、大人のアレルギーの“受け皿”はあることが分かります。残念ながら、ひとつ問題があります。食物アレルギーです。
今みてきた通り、アレルギーの病気は呼吸器内科、皮膚科、耳鼻科、眼科の先生が対応してくれるはずですが、食物アレルギーはどこもなかなか診てくれないと思います。学会に参加してみると、大人の食物アレルギーは一部の大学や大きな病院の皮膚科の先生が対応されているようです。
大人でエビやソバ等が食べられない方もいらっしゃることでしょう。最近は、口腔アレルギー症候群といって果物や野菜を食べて口の中がイガイガしたり、唇が腫れるタイプの食物アレルギーもあります。子どもは目の前に出されると食べてしまうので、アナフィラキシーに至ることもありますが、大人の場合は“自己責任”になると思います。食物アレルギーと思うと、避けて食べないので、蕁麻疹やその他のアレルギー症状が出ることもまずないのだと思います。
当院で診ているアレルギーのお子さんの親御さんが、魚を食べてジョギングをしたところ、顔が腫れ息苦しくなって内科を受診したと聞いたことがあります。その内科では蕁麻疹の治療をしただけで、原因も追及することもなかったそうです。
話を聞くと、食物依存性運動誘発アナフィラキシーも考えられる状態です。アレルゲンを食べても何も起きないけれど、食べた直後に運動することで、アナフィラキシーを来すという病態です。本来なら、魚を食べて運動して、アレルギー症状が誘発されるかを確認して、原因を特定すべきなのです。しかし、大人の場合だと、仕事も休めず、検査入院も難しいでしょう。患者さん側の要因もありますが、このような大人の食物依存性運動誘発アナフィラキシーを精査してくれる病院が県内にあるかとという“受け皿”の問題もあると思います。
先日、大人の食物アレルギーを診て欲しいと予約の電話があったそうです。潜在的に、医師に相談したくてもできない大人の食物アレルギーの患者さんはいらっしゃるのだろうと思います。先にも述べた理由で、当院では基本的には大人のアレルギーを受け入れることができない状態です。その代わり、病気によって専門医に回って頂いていますが、食物アレルギーとなると話は別です。当院がある程度は対応しなければならないのかなと思っています。


