小児科 すこやかアレルギークリニック

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研修会へ行こう
2010年07月15日 更新

以前、映画で「病院へ行こう」というのがありました。

来週の22日(木)は休診にさせて頂きます。新潟県の学校の先生を対象にした研修会があり、今回の課題は食物アレルギーになっています。来月、上越市で行われる研修会は私が講師として、子供のアレルギーについてお話しすることになっていますが、今回は“脇役”です。

新潟市もこの春から食物アレルギーの部分のみですが、「学校生活管理指導表」が運用されるようになりました。この「学校生活管理指導表」はこれまでは心臓病と腎臓病に限って使われていましたが、アレルギー疾患の頻度が驚くほど高く、学校生活において何からかの支障のある児童や生徒が少なくないということで、2年前からスタートしたシステムです。

しかし、アレルギーの専門医も少なく、学校もいろいろと大変なせいか、なかなか普及しませんでした。2年経って、徐々にですが運用する自治体が増えてきているようです。県庁所在地の新潟市でも運用されるに当たり、学校の先生方も「食物アレルギーを理解しなければ」という機運が高まっていたところだと思います。

この「学校生活管理指導表」は私の恩師が中心となってまとめあげられ、導入されたと聞いております。今回の新潟県の研修会に、「学校生活管理指導表を作った張本人の先生にお話しして頂いたらどうでしょう」という発案のもと、恩師の先生が来てくださることになったのです。お忙しいのに、喜んでお引き受け頂きました。

これまで特に食物アレルギーの除去食の指示書は所定のものがなく、例えば転校したりすると、また書き直してもらわなければなりませんでした。全国一律の用紙があれば、スムーズに話が進むことになります。便利なツールだと思っています。そのためには「学校生活管理指導表」を正しく理解しなければなりません。

「学校生活管理指導表」の食物アレルギーの箇所には、診断根拠を書く部分があります。いつもこの場で書いているように、アレルギー検査が陽性だからその食品が食べられない訳ではありません。アレルギー症状が誘発される可能性がある、ということです。

ただ、例えば卵などでアレルギーを起こしたことがあると、ソバやピーナッツ、エビなど「強い症状」を起こしやすいと思われている食品を怖がって食べさせられない親御さんもおります。これらのアレルギー検査が陰性の場合は、食べても症状が出る可能性は極めて低いのです。診断根拠を書く欄には「明らかな症状の既往」、「食物負荷試験陽性」、「アレルギー検査陽性」の3つしかありませんので、“恐くて食べさせられない”ケースを拾い上げられる可能性があります。

また、診断根拠の中に「食物負荷試験」の記載があります。ということは学校側が「食物負荷試験とは何か?」ということを理解していなければなりません。いつも言っている通り、食物アレルギーの最終診断は、アレルギー検査ではありません。検査が高くても食べても何ともなければ、食べても構わないのです。しかし、ほとんどの医師が「食物負荷試験」をやっておらず、そんな検査があること自体、患者さんに伝えていないのです。それはとてもおかしなことだと繰り返しています。「学校生活管理指導表」が普及することで、検査の存在が広まり、専門医にかかり、「食物負荷試験」をした上で正しく診断してもらうことが重要であるという認識を持つ学校が増えて欲しいと願っています。

いま、学校の先生が最も知りたいことは「エピペン」だそうです。食物アレルギーでアレルゲンを食べた場合、最悪アナフィラキシーショックに至り、生命の危機的な状態に陥ります。その対処法としてショック改善薬である「エピペン」が有効とされています。

少し前にも書きましたが、これまでは患者、親御さん、救急救命士のみが使用できることになっていましたが、今は学校の先生も使用が認められています。というか、学校で誤食などで重篤な状態に陥り、一刻も早く対応しなければならない時に、「エピペン」を注射できるのは、学校の先生しかおりません。そういう人道上の問題もあり、使用が許可されているのです。それが学校の先生方の間でも広まってきており、是非とも使い方を知っておきたいと希望する先生が多いと聞いています。

これもいつも言っているのですが、新潟県の食物アレルギーのレベルは決して高くありません。学校の先生方もいろいろと大変だろうと思うのですが、アレルギー児がとても多い昨今、迅速で適切な対応が求められているのです。今回の研修会には、例年よりも多くの参加者があると聞いています。

今回の研修会の講師として、私は恩師がこの上なく適任だと思っています。以前、この場で今年は新潟の“食物アレルギー元年”だと書きました。5月に長岡でアレルギー大学があったり、お陰で地元のテレビ局が医院に取材に来て下さったり、10月に当院のイベントとして食物アレルギーの夢のような治療法である「経口減感作」療法をやっている先生に講演に来て頂く予定になっています。私自身も上越市や他の市からもアレルギーの講演の依頼があります。実は、恩師を新潟にお呼びするのもその一環だったのです。

新潟の食物アレルギーのレベルアップを図るためには、患者さんや園•学校の先生方に啓発活動をすることが大切だと思います。来週の研修会は新潟市で行われるので、私の地元の上越からはかなり離れています。でも、実りのある研修ができること請け合いです。参加締め切りが終わったのか分かりませんが、迷っている先生がいらっしゃれば、「研修会へ行こう」と提言したいと思います。